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坐ることを拒否する椅子をつくった男(前(3ページ目)

石川尚のWPR#38:「私はグッド・デザイン式の椅子、あのお尻の雌型のような、いかにも坐ってちょうだいと媚態をつくっている不潔さがキライだ!」青山時代の岡本太郎展より。 取材協力:川崎市岡本太郎美術館

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド


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・『坐ることを拒否する椅子』・・・岡本太郎

『生活の中に創造的な遊びがない。それが現代の空虚さだ。つまり芸術が欠けているのだ。
(中略)
私は、今度「坐ることを拒否する椅子」を作った。大きな目をあでやかにひらいてみたり、キバをむき出して笑ったり、口をへの字にした怒りんぼ。……ほとんどが顔になっている。しかも坐面がとび出しているので、誰もはじめは恐る恐るお尻を近づける。思い切って腰をおろす。そして『イヤア、なかなか気分がいいじゃありませんか』と、ニコニコする。
私はグッド・デザイン式イス、あのお尻の雌型のような、いかにも坐ってちょうだいと媚態をつくっている不潔さが嫌いだ。そこで逆に精神的にも、肉体的にも人間と「対等づら」するものを作った。生活の中の創造的な笑いである。』
「朝日ジャーナル」1964年3月15日号
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(引用:再録文献7, 図録/青山時代の岡本太郎1954-1970,p69)



思わず笑って仕舞うが、同じ家具、椅子をデザインしているボクにとって、衝撃的な言葉。ついつい、座り心地のよさを重視するが、それだけではない、逆説の視点も大切なことなのだ!と問いかけている。それも作品にして・・・とてもユーモアのある挑戦、そしてそこに品格がある、説得力がある。全てのものをのみこんできた太郎さんだからなのだ。
それにしても、太郎さんは言葉のセンスも抜群。人を引きつける言葉の力を持っている。


さて、この続きは後編で。
後編では『グッドデザイン』についてお話しします。岡本太郎さんとグッドデザイン?・・・どんな関係があるのかお楽しみに!

WPR#39 坐ることを拒否する椅子をつくった男(後編)に続く!


■今回の関連リンク
川崎市岡本太郎美術館




■青山時代の岡本太郎 1954-1970
■会場:川崎市岡本太郎美術館
■会期:2007年4月21日~7月1日 9:30~17:00

※ 取材協力:川崎市岡本太郎美術館


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