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・『坐ることを拒否する椅子』・・・岡本太郎

『生活の中に創造的な遊びがない。それが現代の空虚さだ。つまり芸術が欠けているのだ。
(中略)
私は、今度「坐ることを拒否する椅子」を作った。大きな目をあでやかにひらいてみたり、キバをむき出して笑ったり、口をへの字にした怒りんぼ。……ほとんどが顔になっている。しかも坐面がとび出しているので、誰もはじめは恐る恐るお尻を近づける。思い切って腰をおろす。そして『イヤア、なかなか気分がいいじゃありませんか』と、ニコニコする。
私はグッド・デザイン式イス、あのお尻の雌型のような、いかにも坐ってちょうだいと媚態をつくっている不潔さが嫌いだ。そこで逆に精神的にも、肉体的にも人間と「対等づら」するものを作った。生活の中の創造的な笑いである。』
「朝日ジャーナル」1964年3月15日号
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(引用:再録文献7, 図録/青山時代の岡本太郎1954-1970,p69)



思わず笑って仕舞うが、同じ家具、椅子をデザインしているボクにとって、衝撃的な言葉。ついつい、座り心地のよさを重視するが、それだけではない、逆説の視点も大切なことなのだ!と問いかけている。それも作品にして・・・とてもユーモアのある挑戦、そしてそこに品格がある、説得力がある。全てのものをのみこんできた太郎さんだからなのだ。
それにしても、太郎さんは言葉のセンスも抜群。人を引きつける言葉の力を持っている。


さて、この続きは後編で。
後編では『グッドデザイン』についてお話しします。岡本太郎さんとグッドデザイン?・・・どんな関係があるのかお楽しみに!

WPR#39 坐ることを拒否する椅子をつくった男(後編)に続く!


■今回の関連リンク
川崎市岡本太郎美術館




■青山時代の岡本太郎 1954-1970
■会場:川崎市岡本太郎美術館
■会期:2007年4月21日~7月1日 9:30~17:00

※ 取材協力:川崎市岡本太郎美術館


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