高齢期の住まいとは
高齢になってもできるだけ長く自宅に居たいと思うなら、そういう仕様で建てておこう
老後といっても60代から80代、90代とその幅は広く、どのような住まいがよいかは心身の状態や経済状態によって異なってきます。心身の状態に注目すると大きくは以下の3ステージに分けられます(年齢は目安)。
高齢期の3ステージ
(1)まだまだ自立した生活ができる(60才~)(2)見守りや支援が必要(75才~)
(3)介護が必要(88才~)
(1)や(2)に該当する時は、比較的自立した生活が送れる状態で、自宅はもちろん子どもとの同居、近居も可能ですし、この時期、元気なうちに施設や高齢者住宅への住み替えをしておくということも考えられます。
(3)に該当するようになると、常時介護を受けるためにグループホームや介護型有料老人ホーム、特別養護老人ホームなどへの入所が必要になってくるかもしれません。
しかし、どのステージにいようとも、様々な条件クリアする必要はありますが「できるだけ長く、住みなれた我が家で暮らしたい」と願う人は多いはずです。
高齢になって一番きついのは「階段」
階段を使わずなるべく1階で全ての用事が済むようにしたい。
最近ですが「今の住まいが体にきつくなってきた」と嘆く高齢の方のお話をきく機会がありました。「2階に上がるのがとても大変だ」とおっしゃるのです。
階段を上るのが苦になってきたら「1階に生活拠点を移す」という方法もあります。生活する上で必要な設備であるキッチン、浴室、トイレ、そしてそれらの水回りの近くに高齢者用の個室が用意できれば可能です。
しかし、もともと水回りが2階に設けてあり1階に給排水設備がない場合、新設するとそれなりの手間や工事費がかかります。またはホームエレベータを増築する方法も考えられますが、いずれも大がかりなリフォームとなり、高齢になって取りかかるには、実際にはとても大変なことだと思います。
次のページで、高齢になっても住み続けるために、最初から住まいに取り入れておきたい工夫を取り上げます。