住宅設計・間取り/住宅設計・間取りのテクニック

高齢になっても安心して住むために最初からすべきこと(2ページ目)

高齢化社会を迎え、高齢者の住まいは多様化していますが、それでもやはり、住みなれた我が家でずっと過ごしたいと願う人は多いはず。高齢になっても安心して住み続けるために、家を建てる時から注意しておきたいことを挙げます。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

最初から取り入れておきたいこと

高齢の方から「家を建てる時に高齢になった時の事なんて考えなかったし、だれも教えてくれなかった」と言われると、私自身が設計したわけではなくても、設計に携わる者としてとても申し訳ない気持ちになります。そこで今回は高齢になっても住み続けるために、建設当初から取り入れておくべきことをいくつかご紹介いたします。

 

水回りは1階に

先ほどの例からも、高齢になった時のことを考えると、日常生活に必要な主な水回りは1階に設けておくと良いでしょう。しかし足腰の丈夫なうちは日当たりのよい2階にリビング・ダイニング・キッチンを設けたいと考える場合は、1階のどこかに将来的にミニキッチンを設けられるようあらかじめ給排水管を配しておくのも一つの方法です。

 

水回りの位置、寝室の位置も想定して

将来的なリフォームで対応する方針で、1階にあらかじめ給排水管を設けておく場合は、水回りの位置と寝室の位置も充分考慮して想定しておきましょう。例えば、高齢になると自室で過ごす時間が増えます。自室の広さはベッド、机を置いて、車イスで回転するためには最低6畳程度の広さが必要です。浴室、トイレの広さは介助者の分も見込んで広めにとることが望ましいのですが、その際ドアではなく引き戸にするとスペースの有効活用ができます。
車いすを使用する場合の高齢者の寝室の配置例。

車いすを使用する場合の高齢者の寝室の配置例。


そこで長い時間を過ごすため、高齢者の部屋は日当たりのよい快適な場所がおススメです。そしてトイレは部屋のすぐそばに設けられるように計画してください。

 

3階建てならホームエレベーターも検討する

最近では木造で3階建ての家も珍しくなくなってきましたが、3階建てで3階部分に主な居室を設ける場合は、ホームエレベーターの設置を検討しましょう。車イスが入れる大きさのホームエレベーターがあれば、ずっとそのまま3階で生活することも可能です。ホームエレベーターを後からつけるのはとても大変なことなので、ぜひ設計段階で検討してください。

 

続いて手すり、床段差、高齢者の自立については次ページで。
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