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為替ヘッジ付き外債ってどういうもの?

2012年に注目されたファンドの代表格が、為替ヘッジ付き外債ファンドです。いったい、なぜなのでしょうか。そもそも「為替ヘッジ」とは、どういうものなのでしょうか。引き続き、ドイチェ・アセット・マネジメントのファイナンシャルストラテジストの藤原延介さんにうかがいます。

大山 弘子

執筆者:大山 弘子

新興国投資・ETFガイド

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長引く円高と主要先進国金利の低下で「為替ヘッジ」が注目された

為替ヘッジ付き外債は引き続き注目

為替ヘッジ付き外債は引き続き注目

2012年に多くの個人投資家から注目された為替ヘッジ付き外債ファンド。その背景には、長引く円高と主要先進国金利の低下があると藤原さんは説明します。

「外貨建て資産への投資では、円高は資産価値の下落要因、円安は資産価値の上昇要因となります。ここ数年、主要通貨に対して円高が進行したことで、『ヘッジなし』の外貨建て資産に投資するファンドのパフォーマンスが悪化しました。その結果、『ヘッジあり』のファンドが注目されるようになりました。加えて、主要先進国の金利が低下したことで、為替ヘッジを行う際にかかるヘッジコストが低下したことの影響もあります」

為替リスクなしに投資対象資産のリターンを得られる

そもそも為替ヘッジとは、為替予約取引を通じて、将来、予め決められた為替レートで受け渡しをする契約を結ぶことです。そのため、為替ヘッジを行うと為替変動リスクを低減させることが可能です。では、具体的には、どのようなことが行われているのでしょうか。

説明をわかりやすくするために、仮に、今の為替レートを1ドル=100円で、米ドルの金利が1%、日本円の金利が0.5%としましょう。1年後に今と同じ1ドル=100円で円を買い戻す契約をした場合、ドルにも円にも利息がつくので、1年後の価値は1.01ドル=100.5円となります。つまり、実際には1ドル=99.5円と今より0.5%円高のレートで買い戻すことになるのです。この0.5%が為替ヘッジコストになります。

「アメリカの政策金利は0~0.25%と史上最低の水準です。日本の政策金利も0~0.10%ですから、ほとんど金利差がありません。そのため、米ドルの為替ヘッジコストも、ほぼゼロに近い水準にあります。つまり、米ドル建ての外債に投資するファンドの場合、『為替ヘッジあり』を選択すると、ほぼゼロに近いヘッジコストで為替リスクを低減させ、投資対象資産の信用リスクなどを引き受けることで、そこから得られるリターンを享受することができるのです」

為替動向や金利動向に注意

ただし、「為替ヘッジあり」の外債ファンドは、為替相場で円安ドル高(ユーロ建てならば円安ユーロ高)が進行した場合には、その分の為替差益を取り逃がすことになります。

「通常、為替予約は1~3カ月のタームで行われるため、少なくとも3カ月に1度程度は、ヘッジコストが上昇していないかどうかを確認するといいでしょう。ヘッジコストが上昇すると、そのぶん収益が圧迫されることになってしまいます」

為替ヘッジ付き外債ファンドを保有する場合は、為替動向にも、円と米ドルやユーロの金利差にも注目することが大切です。そして、為替相場で円安ドル高(あるいは円安ユーロ高)がの見通しが強まったり、米ドルやユーロの金利が上昇した場合は、「為替ヘッジなし」へのスイッチングなどを検討したほうがよさそうです。

取材・文/大山弘子

教えてくれたのは……
藤原延介さん
藤原延介さん

藤原延介さん


ドイチェ・アセット・マネジメント
企画部、ファイナンシャルストラテジスト、ヴァイスプレジデント
三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)の国内・海外マクロ経済調査及び株式運用担当、リッパー・ジャパンのマーケット・アナリストなどを経て現職。

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