ビタスイならではのアプローチ
店は造りは瓢箪型をしている。通常こういった場合には広い方を入口にして、最初に安心感を与えるものだ。だが、ビタスイの場合は違った。わざと狭い方にエントランスを置いたのである。狭いエントランスから入った時には、期待もあるが、奥が分からないので不安もある。その不安をよい意味で裏切る自信があるからこそ、定石通りにしなかったのである。
中央には、十二星座が描かれた幕が円を描いて天井から下げられている。黒字に銀色なので目立つ。幻想的な雰囲気に包まれており、異国情緒に溢れている。
空の美しい星座に想いを寄せながら、シルクロードを旅する。旅の終わりにオペラハウスに辿り着いたというストーリーだ。
さらに奥へと進むと、その先には広いブッフェ台が見えてくる。活気ある様子に思わず声を上げてしまう。
料理台は舞台であるというコンセプトから、緩いスロープのアプローチを造り、舞台への導線としている。
ブッフェ台が一段高くなっているところがよい。客席から見ると、舞台の上で豪華絢爛なスイーツの競演が繰り広げられているように感じられる。
客にサプライズと楽しさを演出したいという、上手な造りだ。ただ、これは実績のあるビタスイだからこそできる演出である。普通のレストランが同じことをやろうにも、難しいだろう。入口から奥が見えなかったり、閉塞感があったりすれば、もうその先へは進もうと思わないからだ。
次は凝った内装のディティールについて紹介したい。