ブッフェは食育のひとつであり、一種の訓練である

佐々木明子 アナウンサー、東龍さん

ブッフェガイドの東龍さんが、テレビ東京の佐々木アナウンサーにブッフェの心得を教えてくれました (C)テレビ東京

佐々木さん(以下、佐)
 東龍さんは、テレビ東京『TVチャンピオン』の「食べ放題通選手権」で二度も優勝されているわけですけど、今も変わらずに食べ放題のお店を食べ歩きされているんですか?

東龍さん(以下、東) 予定がない日は毎日行きます。“一日三食ブッフェ”ということもあるくらいです。

 毎日毎食!? 実は私、「“食べ放題通”の方なのにどうしてこんなにスリムなんだろう?」って、さっきから不思議に思っていたんです。今の発言で余計に謎が深まりました。どうして太らないんですか?

 そこにみなさんの誤解があると思うんですけど、ブッフェもバイキングも、大食いをするためのものじゃないんですよ。たとえば、ホテルのブッフェなら、料理が豪華でその種類も豊富ですよね? そんなぜいたくな環境の中で、自分の食べたいものを好きなように食べられる“選択の自由度”を楽しむものなんです。

佐々木明子 アナウンサー

「食べ放題って、たくさん食べればいいってわけじゃないんですね」 (C)テレビ東京

 私は、“食べ放題”と聞いて、文字通りたくさん食べるものだとばかり思っていました。それに、豪華な料理がたくさん並んでいたら、全部味見したくなっちゃいませんか? ちょっと恥ずかしいですけど、「払った分の元が取りたい」という気持ちもあったり……。

 たしかに、あれもこれも食べてみたくなる気持ちは僕にもあります。でも、前菜からデザートまでおいしく食べられるようバランスを見て、コントロールするのがブッフェの醍醐味。元をとるためにたくさん食べても、みなさん後で後悔することが多いんじゃないかと思います。金銭的には元がとれたかもしれないけれど、いい思い出にはならない。それではもったいないと思うんですよね。実はブッフェとは一種の訓練なんです。だから、最近は小学校の給食にも定期的にブッフェが取り入れられています。栄養のバランスだけでなく、他の人のことも考えながら自分の好きな料理を選んでいく、食育のひとつなんです。

 小学校でも? それは知りませんでした。それに、まさかブッフェが訓練だったとは(笑)。

日本のバイキングのルーツはスウェーデンにあり

 日本のバイキングは、1700年代にスウェーデンではじまった「スモーガスボード」という伝統的な食事スタイルが元になっているんです。基本的には、好きな料理を好きなだけ食べればいいのですが、今の佐々木さんの感覚でスモーガスボードを食べていたら、スウェーデンの人は全員肥満になってしまいますよね(笑)。それに、スモーガスボードでは、食事に使った皿が多ければ多いほどマナーが良いとされているんです。これは、たくさんの量を食べるという意味ではなく、料理を少しずつお皿に盛って、何度も取りに行くのがいいという意味。日本ではお皿に料理を山盛りにしている人をよく見かけますが、実はマナー違反なんです。

 何度も料理を取りに行くのは恥ずかしいし、お皿を汚すのもお店の方に悪いと思って、できるだけ一皿にたくさんの料理を盛り付けようとしてました。私、知らないうちにマナー違反をしてたんですね。ちなみに、“ブッフェ”“食べ放題”“バイキング”と、いろいろな呼び方が出てきていますけど、これは全部同じ意味なんですか?

東 日本ではほとんど同じ意味で使われていますが、実は違いがあるんです。特にフランス語の“ブッフェ”は、本来は立食形式の食事のことを指しているので、食べ放題ではないんですよ。だから、パーティの招待状に「ブッフェです」と書かれていたら、「立食ですよ」というだけの意味。いくらでも食べていいというわけではなく、料理がなくなったらそれでおしまいなんです。

 それじゃあ、ホテルの方に「この料理なくなってるからお代わり出して!」なんてお願いしたら、恥ずかしいんですね。これは勘違いしている人がたくさんいそうですね!