スマートハウス・エコ住宅/スマートハウス・エコ住宅の基礎知識とトレンド

スマートハウスとAEMS(2ページ目)

どんどん進化するスマートシティ。地域の気象予報データに応じて地域内エネルギーを最適化・マネジメントする動きのほか、街区やブロック単位での創・蓄エネ状態と消費電力状況をリアルタイムでモニタリングし、その街区同士を結んでさらに広域の街・市・エリア単位でエネルギー情報を管理するAEMSに「住まい」を連携させる動きも出てきました。いくつか事例を紹介します。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド

業界初の創蓄賞エネ設備や技術が結集

MEDIASの「業界初」となる主な実証実験項目は以下の6つ。

AEMS

柏の葉キャンパスエリアAEMSと連携した「MIDEAS HEMS」

1.地域のAEMSと連携したHEMS
天気や温湿度など地域気象と連動したエネルギー制御が可能。将来的にエリア全体のエネルギー状態が分かれば、過剰地点から不足地点へのバランス調整も可能になる。

2.EV(電気自動車)ワイヤレス給電…磁界共鳴技術により、ケーブルやコンセント接続がなくても充電可能。(株)IHIと共同研究開発。

3.非常時などのアシスト電源として「HEMS連携のディーゼル発電機」…非常時に電気・ガスなどエネルギーインフラが遮断されても、軽油はガソリンスタンドに行けば調達できる。軽油は経年劣化の心配も少ない。

キネクト

手振りで操作できるナチュラルユーザーインターフェイス

4.手振りによるナチュラルユーザーインターフェース「Kinect活用操作システム」…日本マイクロソフト(株)のセンサーデバイスを活用し、手振りでテレビや照明、タープなどの操作ができる。

5.ダブル蓄電池…実験住宅に搭載のPVは10kWと大型のため、これを複数台で蓄電。複数台を交互に運転させることで、スムーズなエネルギー調達とリスクが回避できる。

6.気象・地震観測システム…天候や温湿度、気圧に加え、地震動をセンサーで把握してHEMSを通してタブレットやスマホに通知。

ダブルスキン

壁を二重にしたダブルスキン

このほか、ビルなど高層建築で用いられ壁を2重にして空気層をつくる「ダブスルキン」、室内側の壁の中に水または潜熱蓄熱材を充填することで太陽熱を集熱し冬の暖房エネルギーや給湯エネルギーを削減する「ウォーターウォール」などなど、実に多彩なスマート最新設備が盛り込まれています。

これらのパッシブ・アクティブ最新技術により、従来の次世代省エネ住宅と比較して消費エネルギーを半減させることが可能に。またLCCM面も、家のライフサイクル全体を通じて排出されるCO2を72年でマイナス収支させることができるとか。これまでのLCCM住宅の収支年数が90年近かったことから考えれば、かなりの短縮です。

全景

柏の葉キャンパスエリア全景

これはもちろんまだ実施前の実証実験段階。11月から実験をスタートし、実験成果をさらなる次世代スマートハウス開発やリフォーム事業につなげるとしています。ついにここまで来たかという感のある事例ですが、こうした取り組みが「安心安全なスマートグリッド社会」への橋渡しになることを願うばかりです。
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