「山岳保険」選び方のポイント
山で遭難したとき、警察や消防など公的機関による捜索・救助活動については遭難者が費用を請求されることはありませんが、人手不足などで民間の手を借りた場合、その費用は全て遭難者(死亡した場合、その家族)の負担となります。隊員1人当たり日当3万円、ヘリを1回飛ばすのに100万円などといわれており、捜索が長引きでもしたら、家族ともども破産状態に追い込まれかねません。家族に迷惑をかけずに安心して登山を楽しむには、山岳保険の加入は必須といえるでしょう。
山岳保険の保険料を安く抑えるには、アイゼン、ピッケル、ハーケンなどの道具を使った雪山登山や岩登りをするのか、それとも道具を使わない、いわゆるハイキングしかしないのか、集団で登るのか、単独で登るのか、といった自分の登山スタイルに合わせて保険を選ぶことが重要です。
例えば、山岳遭難・捜索保険には「山岳登はんコース」と「軽登山コース」があり、前者は道具を使った登山も保険の対象になる代わり保険料は割高、後者は道具を使った登山が対象外となる代わり保険料は割安です。また、それぞれのコースに個人賠償責任の補償(1億円)があるタイプとないタイプがあり、当然、あるタイプのほうが保険料が高くなりますが、滑落したとき他人を巻き添えにする、といった個人賠償責任が生じるのは集団で登山する場合のほうが可能性が高いと考えられます。
ちなみに私の場合、ハイキングしかしませんし、いつも1人か家族で行くので、「軽登山コース」の個人賠償なしタイプ(保険料1660円/年)です。救援者費用300万円、死亡・後遺障害150万円などが保障されます。
この保険の基本の保険期間は毎年4月1日から1年間(随時、中途加入可能)。日本山岳協会山岳共済会を契約者とする団体保険で、加入には保険料のほかに年会費1000円(入会金は不要)を支払って、山岳共済会に入会する必要があります。団体保険なので、年会費をプラスしても十分割安ですし、会員証提示で尾瀬、谷川岳、丹沢、富士山などにある提携山小屋の宿泊に10%程度の割引が適用される特典もあります。また、保険会社の山岳保険と違って、年齢制限やクレジットカード登録といった資格要件がなく、誰でも入れるのも魅力です。