転職のノウハウ/転職活動を始める前に

要注意!冬ボーナスと転職事情

今年も冬ボーナスの時期が来ますが、果たして満足いくだけの金額をもらえそうでしょうか。実際、毎年冬のボーナスの支給がされると、その直後から一気に転職活動をする人が増えるものです。これは世の中の一つの大きな流れではあるのですが、果たしてこの時期の転職活動、本当に得策であるのかどうか、今回はその辺りの転職事情の真相にきりこみます。

小松 俊明

執筆者:小松 俊明

転職のノウハウ・外資転職ガイド

今年も冬のボーナスの時期がきました。ただ、長引く景気低迷、特にパナソニックやソニーといった日本を代表する大手家電メーカーの業績不振とリストラのニュースが与える心理的な影響もあり、今年も冬のボーナスに対する期待は全体的にしぼんでいるようです。

ボーナス直後、エントリーが激増する

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今年のボーナス、期待できる?

そうした中でも、転職市場に新たな転職希望者が流入してくるのは、ボーナスが支払われた直後であることは今も昔もあまり変わりありません。特に最近は、支給された(もしくは支給されなかった)ボーナスに対する落胆からでしょうか、ボーナス直後になると転職サイトや人材紹介会社にエントリーする転職希望者の数は一気に増えてきます。

給料のベースアップに期待がもてない時代です。また、会社が年俸制にシフトしたことで、給料がむしろ下がってしまった人も少なくありません。そうした背景の中、夏冬に支払われるボーナスは給料の一部であると考える人は、さらに増えていくことでしょう。このため、ボーナスをもらった直後に退職届を出すことに対して、一種のうしろめたさを感じる人の数も、最近は減少していているのではないでしょうか。

待遇の改善を求める人が増える

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転職理由で一番多いのが「待遇改善」

さて求職者に多い代表的な転職理由は、「仕事内容・人間関係・待遇」に対する不満です。このうちの一つに不満を持った場合、必ずしも転職を決断するに至らないものですが、二つ以上の項目に不満を持った場合、高い確率で多くの人が転職に踏み切っています。
この三つの転職理由の中でも、待遇に対する不満を訴える人が一番多いのではないでしょうか。特に、全国的にボーナスの支給がされる6月と12月の直後に転職活動を始める人の場合、待遇に対する不満を訴える人の割合が上昇しているのではないかという仮説を私は持っています。

長年、採用の現場でビジネスパーソンの転職に向き合ってきた経験から、「仕事内容・人間関係・待遇」の充実がいかに大切であるか、疑う余地はありません。しかし、何により重点を置いているか、その点ではかなり個人差があるようです。では、ボーナス直後に転職活動を始める人の中に待遇面の充実を志向する人の割合が増えるとしたら、それは具体的にどのような影響を転職市場全体にもたらすのでしょうか。

人件費が上昇したしわ寄せはどこに出る?

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内定が出ても給料ダウン?!

優秀な人材は最終面接に進むわけですが、最終候補者が待遇改善にこだわりの強い人だった場合、企業としてはその人材の確保を決断するにあたり、大きな決断を迫られます。当初予定していた人件費の上限を超えてしまうからですが、全体の帳尻はほかの人の採用でしなければなりません。つまり、余計に100万円払ってしまった場合、どこかでその同額を削る必要があるといった具合です。
採用の数が少なければそれほど意識せずとも、何とか予算的にも誤差の範囲とも言えるのでしょうが、予算オーバーで採用しなければならない人が複数発生することになれば、全体の帳尻を合わせることの難易度が高まります。
転職先の給料が決まる場合、主に本人の現職の給料や業界水準が考慮されますが、最近増えているのは、現職の給料が考慮されないケースです。つまり、会社の予算は〇〇〇万円だから、その上限でオファーするというわけですが、それが候補者の方の現職の給料レベルを下回ることが決して少なくありません。これでは最後の局面で話がまとまらなくなってしまいます。

転職活動をするタイミングは慎重に選ぼう

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転職活動は慎重に

不景気の世の中になり、転職市場もそのあおりで不景気な話が多いわけですが、待遇に不満を持って転職活動する人が増加すると思われるボーナス直後の時期には、こうした給料のミスマッチがいつも以上に増加するため注意が必要です。
転職活動において世の中の多くの求職者と同じような動き方をすれば、どうしてもこのような一つのトレンドに巻き込まれていきますので、もしそれを避けたいと思うならば、たとえばボーナス直後の転職活動は、いったん数ヶ月間は見合わせるというのも、一つの考え方かもしれません。転職したい事情やタイミングは人それぞれ違いますが、転職市場にもそれなりに季節性があることを認識して頂き、自分独自の戦略をもって積極的に活動してみてください。より詳しい状況を確認したい方は、専門家のアドバイスを受けるなど、しっかりと情報収集をして転職活動に臨むことをお勧めします。

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