年齢による格差がビジネスに影響
全体を通して見ると「美容への関心」は約7割の男性が持っているとの結果が出ました。昨今の身だしなみを重視する風潮と合致する結果です。誰もが社会的なコミュニケーションを円滑させるためのマストアイテムとして、美容に関心を持つ傾向が浮き彫りになりました。
そこで、注目したいのが年齢による格差です。20代の男性の実に76.6%が「美容に関心がある/少しある」と答えています。これは身だしなみを通常の行いとして認識していることと言ってもよいでしょう。
一方で、40代の男性の40%以上が「あまりない/ない」と回答しています。これも見逃せない非常に大きな数字です。この年齢格差をいかに考慮して、アイテムの整備やプロモーション・啓蒙を行っていくのかが、今後の男性美容ビジネスのキーとなることでしょう。
消費の動向などを鑑みると、今回は調査の対象としなかった10代の男性は、20代よりもさらに美容意識が高いと予想されます。従来は「男性美容」とある意味、特化したものとして取り扱うことが多かったのですが、これからは「男性」という冠が外され性差のない「身だしなみ」として認識されてくるのかもしれません。
無関心層の孤立化とその危険性
上記の状況にもかかわらず、特筆すべきことは、男性の美容無関心層の存在です。詳細は右のグラフをご覧ください。30代では12%、40代では13.8%と看過できない人数がいます。その内容を詳しくみてみると「日頃行っているケア」という質問に対して「特に何もしていない」という回答は35.4%にものぼりました。
そして、この結果を私が危険だと思ったのは「ビジネスシーンにおいて、“外見・身だしなみ”で後悔や失敗をしたこと」という質問に対して、美容に無関心な層は56%もの人が「特にない」と回答している点です。
というのは、ここで美容や身だしなみが社会生活上、必要不可欠であると感じている関心層との意識乖離が見られるのです。
つまり、無関心層は自らの失敗を認識していない可能性が非常に高いということ。周囲の人は無関心層の身だしなみに関してダメだしをしているにもかかわらず、本人だけがそれを自覚していないという状況も大いに考えられます。身だしなみはデリケートな分野ですので、それを面と向かって指摘することは難しいもの。つまり、本人の意識とは別に「不潔」の烙印だけを押されていることもあり得るのです。
美容という言葉を「身だしなみ」に置き換えた場合、他人を不快にさせないための必須条件。今後はこの無関心層にいかに気づきを促すか、がポイントになってくるでしょう。
次のページでは、SNSなどを活用する男性の情報リテラシーと美容の関係及び、最近の男性が美容をどう捉えているのかを探ります。