24時間いつでも対局可能
ネット将棋とは、インターネット上に開かれた将棋道場のようなもの。そこにアクセスして、相手を見つけ、いつでも将棋が指せるシステム。無料で利用できるものと、有料のものがあります。最も人気があるのは、公益社団法人日本将棋連盟のサイトで、会員数24万人を誇る「将棋倶楽部24」。「24」や「にーよん」と呼ばれています。パソコンからなら無料で利用でき、24時間いつでも相手が見つかります。若手プロ棋士の中には、小学生のころから、毎日何十局も「将棋倶楽部24」で将棋を指して強くなり、プロになることができたと公言している例もあり、いまや上達のためにもネット将棋は大切なツールになっています。
「将棋倶楽部24」では、現在は1つの携帯番号につき1つのIDしか登録できません。新規登録方法はサイト上で丁寧に解説されています。登録手続き時に「登録キー」が必要になり、その登録キーは携帯電話の番号あてにショートメッセージで送られてくる仕組みです。IDは、 アルファベットと数字の組み合わせで自分で好きなものをつけられますが、先に同じIDを登録している人がいれば、違うものにしなくてはいけません。
IDと自分の棋力(段や級)を選んで登録します。初心者ならば初心、それ以上なら15級~五段までの段や級を選びます。ただし、一般的な将棋道場や教室での級より「将棋倶楽部24」の級は厳しく、サイトにも、一般的な道場での級より3~4級低くなる「将棋倶楽部24」の級の比較表が出ています。
ですが、町道場で初段と言われたけれど、「将棋倶楽部24」では10級といった10級以上の差がある例もあるので、少々低めの級を選んでもいいでしょう。実際にやってみて、楽勝ばかりとか、あまりに登録した級と実力が違うと感じた場合、10局以内なら、管理者にメールして、級を上下してもらえます。
強さの指標として信頼される24のレーティング
普通教室や道場では級は下がることはありませんが、「将棋倶楽部24」では下がることがよくあります。レーティングという、強さを数字で表したものを使用しており、550~649が10級、650~750が9級というように、だいたい100ごとに級が上がり、級とレーティングの対照表がサイトに出ています。自分よりレーティングが高い人を相手にすると、勝つ可能性は低めになるけれど、勝った時のレーティング上昇率は高く、負けた時のレーティング下落率は少なめ、逆に自分よりレーティングが低い人を相手にすると、勝つ可能性は高めになるけれど、勝った時のレーティング上昇率は低めで、負けた時のレーティング下落率が高めになるというシステムです(詳しい計算式も掲載されています)。
30局以上指すと、だいたい自分にあったレーティングに落ち着くと言われています。レーティングを使った「レーティング戦」は、下の対局室を選ぶ画面で、レーティング対局室を選んで入ります。レーティングを使わない自由対局室もあり、そこではIDを持たないゲスト会員も入場できます。ただ、レーティング対局室のほうが、自分のレーティングと級の上げ下げがかかっているので真剣度が高いというメリットがあるようです。
対局室に入って待っていると、同じ対局室にいる人から対戦申し込みがあることもありますし、自分から、対局中ではない「待ち」状態の人に、対局申込みをすることもできます。断られてしまうこともありますが、自分よりレーティングが高い人としか指したくないとか、いろいろなポリシーをもつ人もいるので、あまり気にしないようにしましょう。
将棋友達ができると「24のレーティングいくつ?」と聞かれることがあります。基準にばらつきがある道場や教室の級よりも、いまや「将棋倶楽部24」のレーティングのほうが信頼性が高いと考える人が多いほどです。
対局するためには、相手だけではなく持ち時間も決めなくてはいけません。長考(各30分)、15分、早指、早指2の4つですが、早指と早指2の希望者が多く、長考希望者はあまりいません。持ち時間を使い切ったあとは、1手60秒や30秒の決められた時間内に指さないと時間切れ負けになります。時間が迫ると音で知らせてくれます。
大多数のアマチュアよりも強いと言われているパソコン用将棋ソフトを同時に使い、ネット将棋と同じ指し方で進めながら、ソフトが導き出す良い手を真似して指すことを「ソフト指し」と言いますが、これはやってはいけないことで、「将棋倶楽部24」でも厳しく禁止されています。部分的にでも、ソフトが教えてくれる手を指すのもNG。ネット将棋であっても、人と指す将棋は、自分の力で指すものです。
感想戦と反省
「将棋倶楽部24」ではチャットもできます。対局が終わったあとは、感想戦をすることが勧められています。感想戦とは、プロ棋士は必ずといっていいほど対局後にするもので、お互いの将棋を振り返り、どこが良かったのか、どこが悪かったのか、お互いに指摘し合って反省します。指した将棋を振り返ることは上達には欠かせないと言われています。ただ、チャットや感想戦ができないと「将棋倶楽部24」ができないわけではありません。対局画面の上部にはチャット用例文が用意されていますが「チャットが苦手です(できません)」という文を選択することもできます。
また、10級以下では、対局が終わったらすぐに対局室から出る人が多く、感想戦をやることが少ないようです。チャットをすると、プライベートなことを聞かれたり、暴言を吐かれたりしないか心配かもしれません。確かにそういう人がいなくはありませんが、管理がしっかりしており、暴言を吐かれた人は、管理者に通報でき、それをもとに会員停止処分になることもあります。
また、自分から言わなければ、相手に分かるのはIDと地域(未登録でも可)、レーティングのみで、性別も年齢も分かりません。若い女性だからといって失礼なチャットをされるような心配はありません。
感想戦はできなかったけれど、1人で反省したいときは、相手が退室してから、自分の将棋をもう一度動かしてみることもできます。指した将棋は記録されているので、再生ボタンを押すだけで指した将棋を見ることができます。
将棋倶楽部24は、携帯からも対局でき、月額315円で会員になる必要があります。スマホはiphoneアプリがリリースされ、アプリは無料でダウンロードできますが、IDを使ってレーティング対局をする場合は、月額350円かかります。有料会員になると、日本将棋連盟提供のプロ棋士のコラムや詰将棋を楽しめます。また、携帯、スマホの有料会員のみが参加できるネット上の大会「モバイル王位戦」もあります。
手軽なハンゲーム
「将棋倶楽部24」の他に、気軽にネット将棋を楽しめるものに、総合ゲームサイトのハンゲームの将棋があります。ブラウザ版と、ゲームデータダウンロード版がありますが、ここでは、すぐに対局できるブラウザ版を紹介します。対局するには、会員登録無料のハンゲームのIDが必要です。インターネットで他人と対局できるのはもちろん、「1人で遊ぶ」を選択すると、コンピュータを相手に対局することもできます。
「ロビー選択」ボタンから対局室に入って、相手を探すこともできますが、「すぐにオンライン対局」を選ぶと、自動的に対局相手を選んでくれます。勝つと、ポイントがあがり、一般人、将棋通などの称号があります。「将棋倶楽部24』」ほど強さの指標がはっきりしていませんが、ネット将棋の中では初心者が比較的多いのが特徴です。駒に触れると、その駒が動ける場所を表示してくれる設定も選べます。スマホにも対応しており、iphone、Androidの無料アプリで楽しむこともできます。
他に、人気のあるネット将棋には、英語を公用語とし、外国人も多数参加している『81Dojo』があります。感想戦を対局画面に矢印などを書いて行える機能や、どうぶつしょうぎなどの対局もできるなど、他のネット将棋にはない特徴もあります。
ネット将棋ができる場は他にもあるので、いろいろ試してみて、自分に合うものを探してみるのもおすすめです。
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