高性能のなかで効率性の向上を目指す21世紀の“M”

BMW M6カブリオレ

日本では4月に発表されたMのフラッグシップ“M6”。ソフトトップを備えるカブリオレも同時に登場、価格は1760万円となる

M5と同じ4.4リッター直噴V8ツインターボエンジンに、7速MDCTを組み合わせたパワートレインを積むM6。ダブルクラッチシステムはともかくも、見ための仕様もスペックも、650iとそう変わらないじゃないか、なんて思いこんじゃいけない。

ノーマルシリーズとの違いは何か? ひと言でいえば、“スポーツ”となるが、スポーツはスポーツでも、時代に見合う最新の考え方を盛り込んでいるという点で、やはりM社はフツウじゃない。

もちろん、先代に比べてパフォーマンスアップは甚だしい。けれどもだからといって、V10時代に比べ、パフォーマンスの全域において、より“怪物度”が高まったか、と言うと、さにあらず。先代のV10が、ゆっくり走っていてもそのエンジンの存在(音や振動)でドライバーを鼓舞したのに対し、新型ではモンスターとノーマルを上手に共存させているのだ。

普段遣いでは、馬鹿力はあるけれど、きわめて従順で抑制の利いたライドフィールを提供してくれる。コンバーチブル化によって失われた剛性はごくわずかで、そのマイナス分はむしろ、乗り心地の向上に寄与したようだ。サスペンションのセッティングも、スポーツモードを使ってほどよく硬く、痛快。
BMW M6カブリオレ

ボディサイズは全長4905mm×全幅1900mm×全高1370mm、ホイールベースは2850mm

要するに、21世紀のM6は、ところかまわず人をむやみに刺激するような前世代的スポーツなのではなく、アイドリングストップなど社会性を傲慢にならない程度に取り入れ、高性能のなかで効率性の向上を目指した。実用車として十分に使える性格と性能、そして機能を、まずは得ようとした、と言っていい。

そのあたりまでは、フルオートのソフトトップ開閉システムがそうであるように、650iカブリオレと何ら変わらない。

だからといって、M6を“650みたいなもん”、などと侮ってはいけない。それは、あくまでもM6の“6”の部分が強調されただけであって、決して“M”の部分が顔を出したわけではない。そして、21世紀のMモデルは、たとえそれがオープンモデルであっても、スポーツを楽しむ舞台を積極的かつ自発的に選ぼうとするオーナーだけに許された乗り物だ。
BMW M6カブリオレ

Mモデル専用ディスプレイやカーボンインテリアトリムを配置。メリノ・レザーを用いたマルチファンクションシートが備わる