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上野・国立科学博物館で「チョコレート展」開催(5ページ目)

上野の国立科学博物館で2012年11月3日(土・祝)~2013年2月24日(日)、「チョコレート展」が開催されます。チョコレートの原料であるカカオ豆の小さな一粒を通じて、カカオを育む自然の恵み、チョコレートを発明した人類の智慧と工夫、世界のつながりなどを、約380点の展示物を通して明らかにします。博物館の展示物をモチーフとしたチョコレートの大型細工も必見!製作したパティシエ達へのインタビューもご覧ください。

平岩 理緒

執筆者:平岩 理緒

スイーツガイド

世界コンクールで活躍のパティシエによる、迫力のリアリズム作品!

植崎義明シェフ(パティスリー KOSAI)/テーマ:シロナガスクジラ、蒸気機関車D51

植崎義明シェフ(パティスリー KOSAI)/テーマ:シロナガスクジラ、蒸気機関車D51

2011年にパリで開催されたチョコレートの世界コンクール「ワールドチョコレートマスターズ」に日本代表として出場され準優勝を遂げた植崎義明シェフ。そのご活躍については、こちらの記事もご参照ください。
「2012年バレンタイン 注目の日本人ショコラティエ:後篇」

今回は、国立科学博物館の外に展示してあるシロナガスクジラと、蒸気機関車D51とをテーマに、チョコレート細工に取り組まれました。かたや動物、かたや機械という、全く異なるイメージのモチーフを、それぞれ見事に作られたのは、さすがです!

シロナガスクジラは、ロボクープという機械で細かく砕いて粘土状にしたホワイトチョコレートでベースを作っています。ほとんどフリーハンドで形にしてしまい、お腹の部分にある溝のような部分だけは彫刻刀で彫ったとのこと。そこに、カカオバターに溶かした色素をスプレーのように吹き付けて彩色しています。

一方、蒸気機関車にはスイートチョコレートを使用。薄い板状にパーツを作成し、まるでプラモデルのように組み合わせて、機関車の形を組み上げています。最初は、写真通りに忠実に再現しようと思ったそうですが、かなり古い車体なので、そのまま再現すると見た目がよくない部分もあったとか。そのため、途中から、精巧すぎず全体的なバランスを重視して、イメージで作るやり方に切り替えたといいます。

車体の金属感を出すのに、青と緑の色素を合わせたカカオバターで奥行きある「黒」を表現。仕上げにブロンズ色のラメパウダーをはたいています。
植崎シェフのチョコレート作品は、蒸気機関車、線路や石も本物と見紛うほど!

植崎シェフのチョコレート作品は、蒸気機関車、線路や石も本物と見紛うほど!

また、線路や枕木、石もチョコレート製で、あまりにも本物そっくりなので驚き!
「石はロボクープという機械でチョコレートの塊を粗く砕いて、ふるいにかけて細かくなりすぎた粉を振るっただけです。あとは、シルバーやらブロンズのパウダーを、適当にファファ~って感じでかけてます。適当なくらいの方が、意外と雰囲気が出るものなんですよ。」と植崎シェフ。

最近は、「ワールドチョコレートマスターズ」出場作品の技術披露を含め、講習会のため地方出張等も多く、さらに「パティスリーKOSAI」のチーフパティシエとして現場をまとめ、後輩スタッフ達がコンテストに出場する際にはフォローしたりと、多忙な日々。そんな中、なんと、シロナガスクジラは3日、蒸気機関車も4日ほどで作ってしまったというから、その集中力に驚きです!
藤本美弥シェフ(パティスリー エチエンヌ)/テーマ:恐竜

藤本美弥シェフ(パティスリー エチエンヌ)/テーマ:恐竜

2007年にフランスで開催された製菓コンクール「ル・モンディアル・デ・ザール・シュクレ」に日本人チームとして初めて出場し、準優勝を果たした藤本美弥シェフ。
当時は「グランドハイアット東京」に在籍されていましたが、現在は独立して、2011年、新百合ヶ丘に「パティスリー エチエンヌ」をオープン。パートナーであり世界コンクール優勝など輝かしい経歴をもつ藤本智美シェフと共に、ご夫妻でお店を経営されています。
「パティスリー エチエンヌ」の記事はこちらもご参照ください。

グランドハイアット東京の頃から、チョコレート細工の精巧さはマスコミでも度々取り上げられ、ホテルのお客様からも度々特注を受けていらっしゃいました。そんな美弥シェフ十八番のモチーフといえば「恐竜」。まさにぴったりのテーマ担当でいらっしゃいました。

国立科学博物館でも人気者の「ティラノサウルス」と「トリケラトプス」。それも、ごく最近の学説に基づいたもので、ティラノサウルスの背中には鳥類のような羽毛状の部分があったり、背を低くして二足歩行したりといった様子を再現しています。
チョコレート製とは思えないほどリアルな恐竜の皮膚の質感

チョコレート製とは思えないほどリアルな恐竜の皮膚の質感

一体で80kgものチョコレートを使ったという重量感ある作品。美弥シェフは「私はプラチョコでもなく、ロボクープで粘土状にもしないの。スイートチョコを半分溶かして、それでそのまま肉付けしていくだけ。簡単よ。」と、さらりとおっしゃいます。
表面だけプラチョコでカバーして、カッターで削って形を作りますが、目を奪われるのは、恐竜のゴツゴツした肌の質感の実にリアルなこと!これは、バーナーで表面をあぶってチョコレートを溶かし、それが上っ面一枚だけ薄く固まった状態になった時に、指で寄せてしわを作るのだそう。

色付けの際は、初めは赤い色素を吹き付けて、タオルでふき取ると、溝の中にだけ色が残ります。これを何度も繰り返し、色を塗り重ねて本物のような複雑な色合いを出すそうです。

そして、表面に粒々と見える突起のような細かい凹凸は、なんとホワイトチョコレートを1粒ずつ絞り出すという、大変に手間のかかる作業をしています。
いかにも恐竜らしい迫力ある皮膚に比べて、目はくりくりっと意外につぶら。コーヒーのエキスを煮詰めて作る「トラブリ」で瞳を描き、つやつやして見えるのだそうです。「本当は、可愛らしいのではなく、カッコいい恐竜が作りたかったなぁ。」と笑う美弥さんですが、子供達には親しみやすそうですね!

あまりにもサイズが大きく、店内の厨房では色付け作業なども行えないので、途中から外に出して作業をされていたそうです。すると、ご近所の方々や、特に子供達が足を止めて大喜び!毎日見にくる子達も大勢いて、これをきっかけに、お店にも親しみを持ってもらえたのが嬉しかった、と美弥シェフ。私が取材に伺った時も、道行く方々がほとんど足を止めて、美弥シェフに質問したり、もうすぐ完成だね、上野に絶対見にいくよ!などとお話をされたりしていました。

日本を代表するパティシエ達による、見事な、そして個性様々なチョコレートの工芸細工。国立科学博物館の「チョコレート展」でも、大いに話題を集めそうです。
今後、会期中に、チョコレートに関するセミナーなども順次開催予定なので、ぜひ公式ホームページで内容をチェックしてください。何度も訪れたい展覧会となりそうですね。

「チョコレート展」開催概要

●会場:国立科学博物館(〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20)
●開館時間:午前9時~午後5時(金曜は午後8時まで)※入館は各閉館時刻の30分前まで。
●休館日:毎週月曜(月曜祝日の場合は翌日火曜)、12月28日~1月1日 ※ただし、12月25日は開館。
●主催:国立科学博物館、読売新聞社
●協賛:日本チョコレート・ココア協会
●入場料:一般・大学生 1400円(1200円)/小中高校生 600円(500円)※( )内は前売及び20名以上の団体料金。
金曜限定ペア得ナイト券 2000円 ※2名様同時入場、男女問わず
●チケット販売所:国立科学博物館(ミュージアムショップ)、主要プレイガイド他
●お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
チョコレートポット(前田商店蔵、日本洋菓子協会連合会提供)

チョコレートポット(前田商店蔵、日本洋菓子協会連合会提供)

詳しい内容は、公式ホームページをご覧ください。( http://event.yomiuri.co.jp/chocolate/ )

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