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勉強はダメでも、ドラクエの呪文は覚えられたという謎(2ページ目)

小学生の頃、ガイドは暗記物の勉強が大の苦手で、社会は47都道府県を覚えるところで挫折しましたし、漢字の100問テストでは9点というヒドイ点数をとっていました。にもかかわらず、当時ドラゴンクエストの呪文については全て空で言うことができました。なぜそんなことが起こるのでしょうか。良くできたゲームには、高い学習効果をもたらす仕組みが搭載されているのです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

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すぐ褒める

レイトン教授の図

レイトン教授の何が楽しいかって、1つなぞなぞを解くたびに「俺って頭いいんじゃないか」と思わせてくれるんです

都道府県を覚えるという課題があった時、子ども達はどこに到達すれば褒められるでしょうか。基本は、全て覚えるというところで褒められるんじゃないでしょうか。1つ、2つ間違ったって褒められるかもしれません。10くらい間違えると、もうちょっと頑張ろうと言われそうです。東京都だけは覚えたと威張ってみたらどうでしょう、むしろ呆れられてしまうかもしれませんね。

でも、ゲームは違います。1つでもできたらすぐ褒めます。ドラクエで敵を1匹倒す、スーパーマリオブラザーズでステージ1-1をクリアする、レイトン教授でなぞなぞを1つ解く、みんなちょっと気持ちのいい効果音だったり、得点だったり、ゲームが有利になる要素だったり、ご褒美をくれます。

逆に、遊んでも遊んでもなかなかいいことがないゲームは、すぐにプレイヤーは遊ぶのをやめてしまいます。勉強と違って、やらなくてはいけないことではないからこそ、やりたいという欲求を高めるためにどんどんゲームは褒めるんですね。でも、勉強だってやりたいという欲求を高めることは大事なはずです。

すぐチャレンジする

スーパーマリオブラザーズの図

失敗してもいい小さいチャレンジがたくさんあって、どんどんうまくなる実感が持てるのは良いゲームです

ガイドは漢字の100問テストで9点をとった際、間違えた漢字をノートに2行ずつ練習することになりました。90点をとった子は10個の漢字を2行ずつなので20行ですが、ガイドは9点ですから、91個の漢字を2行ずつで182行の書き取りです。その後、行った再テストでは53点をとりましたが、この中途半端な結果は達成感よりは脱力感や苦手意識をもたらしました。

ゲームでもたくさん努力させて時間をかけてチャレンジをして失敗させてしまうと、相当ゲームにのめり込んだプレイヤーでないとやめてしまう恐れがあります。ゲームの構成でいえば最終ステージ、ラスボスの時にようやくそういう目標を設定します。じゃあ、最初はどうするか、先ほどのすぐ褒めるということと関係してきますが、達成の最小単位を小さく小さくして、その分チャレンジもたくさんたくさん用意します。

先ほどスーパーマリオブラザーズでステージ1-1をクリアしたらご褒美をくれると書きましたが、もう少し細かくお話してみましょう。ゲームをスタートしてダッシュすると出会い頭にクリボーがやってきます。これでいきなりやられるプレイヤーもいます。しかし、すぐさまもう1回チャレンジです。Aボタンでジャンプしてクリボーを避ければすぐその先にはキノコを取ることができます、ご褒美です、マリオが大きくなってテンションが上がります。少し先に進むと穴があいていて、ここに落ちるとミスになってしまいますが、ジャンプで飛び越えられればその先にはフラワー、さらにちょっと進めるとスターがとれて、その先はもうゴール目前。

常に今できることよりもほんの少しだけ難しいことにチャレンジさせ、失敗してもリスクは少なく、やるごとに少しずつ前に進んでる実感があってチャレンジそのものが楽しめる、そういう条件の揃ったゲームはついつい何度も遊んでしまいます。

ゲームと学習効果について、いかがだったでしょうか。最後に、どうしてゲームがこんなにも高い学習効果を持つ仕組みを搭載しているのか、お話して終わりたいと思います。
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