映画監督・今敏(こんさとし)
~オススメ作品「千年女優」~
■「千年女優」作品概要:かつて一世を風靡した大女優、藤原千代子は長く芸能界から遠ざかり、人里はなれた山荘にひっそりと暮らしていた。
千代子のファンであった立花は、インタビュアーとして彼女のもとに訪れる。立花が彼女に手渡した古い小さな鍵をきっかけに、千代子は長い人生を語り始めるのだが、次第に現実と映画の中の物語とが入り乱れ始めて……。
■主なキャスト:
荘司美代子、小山茉美、折笠富美子、飯塚昭三、津田匠子、鈴置洋孝、京田尚子、山寺宏一、津嘉山正種
■今敏監督を好きな理由:
アニメ作品だからこそ表現できるような虚構と現実の入り混じった不思議な世界をみせてくれる今監督。
もともと漫画を描かれていたことだけあって、画力が抜群、背景などの書き込みもものすごく丁寧です。新しい日本のアニメーションを牽引するのはこの人だ! と思っていましたが、2010年に急逝されてしまい、とても残念でした。
■「千年女優」の好きなシーンやオススメの理由:
ストーリーは単純で、老婦人の昔話にインタビュアーとカメラマンの男性2人が付き合わされる話、といってしまえばそれまでなのですが、映像的な仕掛けが楽しめる映画でした。
彼女の話が映画の中のストーリーと入り乱れはじめると、場面は彼女の山荘から映画の中の物語の世界へ。聞き手の2人も映画の登場人物に扮してお話に引き込まれていきます。戦国時代の戦場では甲冑姿で矢の雨を命からがらくぐりぬけたり、昭和の特撮怪獣映画の中で巨大怪獣におそわれたり……。中盤はエンターテイメント色がつよいドタバタシーンも満載です。
千代子が何を思い女優になり、なぜ突如引退したのかなどの謎ときがされていきますが、それよりむしろ千代子とスクリーンからスクリーンへ駆け抜ける時間旅行を楽しめる作品だと私は思います。