厚生労働白書も日銀の調査もニュースはどこかおかしい

8月28日に「厚生労働白書 」が公開されました。早速、「今の高齢者だけが恵まれていて現役世代は不幸とは一概にはいえない」といった枝葉末節をピックアップして、国の年金不信について紹介するニュースがありました。(実際に読んでみるとコラムの一文章なのに、おおげさに取り上げ、あたかも厚生労働白書の全体のトーンを示しているかのような印象を与えます)

金融広報中央委員会(日銀の関連団体)が9月21日に公開した金融力調査 においては、老後の費用について「年金のみでまかなえない」とした人は78.3%にも及ぶとしてこれまたニュースになりました。こちらもニュースだけ読むと、国の年金不安をあおっているような印象です。こうしたニュースを見ていて、私がFP的に思うのは「だから、どうした」という感慨です。ニュースの取り上げ方について、どこかおかしいと感じます

そもそも「年金は100%頼る」と「0%頼る」しかないのか

何よりも間が抜けていると思うのは「国の年金が老後のすべてを支えるべき」というような非現実的な価値観に基づくニュースの取り上げ方です。現実的な年金生活者の多くは、公的年金はもらうものをもらい、足りない部分が出るのでそこは自分の個人的な財産を取り崩して暮らしています。「私は年金100%で個人財産は0」という人はほとんどいませんし、「私は公的年金には頼らないので、1円ももらわず全額自腹で暮らしている」という人もほとんどいません。

前者については、年金しか財産がない、という人は確かにいます。後者についても、公的年金をもらう資格がないので生活保護を受けている、というような人もあるでしょう。しかし全体でいえば少数派です。どんなに生活保護をもらう人が増えても、普通に年金生活を送る高齢者は3000万人以上あるからです。

「国の年金だけでは老後に不安」→「年金を十分に払ってくれない国が悪い」というロジックで体制に批判的な新聞記事を書こうという発想が最初にあるから、「年金、ゼロか100か」というような非現実的な択一を迫る記事になるのだと思います(自分もひとりのライターとして考えると、そう書くのはとてもラクだと感じます)。

しかし、こうしたニュースは「実用」として、役立ちません。「このニュースを読んで、私はどう老後に備えればいいの?」という答えは見つからないわけです。

それではどういうポイントを考えればいいのでしょうか。

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