5ドアでもモダンアウディを体感、A1スポーツバック(2ページ目)

ライドフィールやパフォーマンスの高さは3ドアで立証済み

乗り味はどうか。結論からいうと、ライドフィールは、3ドアとまるで変わらない。あくまで快活でフラットな部類で、ボディは軽くて硬く、しかも足腰が粘り強く動く。平坦なのに力みがなく、しなやかなのに気怠くない、というあたりも3ドアで体験済みのテイストだ。

アクセルペダルを踏み込み、車体が直噴ターボエンジンとデュアルクラッチトランスミッションによる軽快な加速にうつった瞬間から、ほかの何物でもなく、モダンアウディの走りであることを身体全体で感じることができる。同じコンパクトアウディでも、Q3あたりとは、そこが違うのだ。

意外にハードな乗り心地である。昔ながらのドイツ車乗りには、別にどうってことのない硬さなのだけれども、これが初めての輸入車だという人や、非ドイツ車系からの転向組には、ちょっと硬いな、と最初は戸惑うかもしれない。

それでも次第に、よく動くシャシーによるリズミカルな走りに魅了されていくはずだ。硬さをただ単に硬いまま押しつけてこないのが、モダンアウディの妙味である。ドイツ車なのだからまあこれぐらいの硬さは当然なのだよ我慢しなキミ、とは、決してならない。

低回転域から、実用上十分なトルクが提供される。郊外路や高速を軽く流すことはもちろん、ワインディングロードでのスポーティな走りまで、まったく過不足なくカバーする。パフォーマンスの高さは、すでに3ドアで立証済み。

アクセルペダルに右足を軽く載せ、ゆっくりと周りに合わせて流してみれば、とりあえず高いギアを次から次へと掴んでいった。いかにも今の時代にふさわしい、エコフレンドリーな走りの気分にも浸れるのだった。

オシャレをつらぬくなら3ドアだし、長く付き合っても飽きの来ないデザインもそちらだが、アウディ味の薄いQ3あたりを見栄えだけで乗るくらいなら、A1の5ドアをオススメしたい。