芝エビがこれでもかと現れる名物「天ばら」
店内へと入ると、目の前に大きなL字型のカウンターが広がります。照明は少し抑え気味。“書”が飾られ、重厚で上品な大人の空間といった感じでしょうか。入って右手には4人掛けのテーブルが2つ、奥には座敷席もあります。この日は1人なので、10席あるカウンターへと腰を落ち着けます。1000円台のランチメニューは全部で6種類。この日のお目当ては、天ぷら魚新の名物「天ばら」(1800円)。芝エビ、イカ、小柱のかき揚げ天丼を塩でいただく一品です。
運ばれてきた天丼。店員の方が塩入れの蓋を取り、「かき揚げを“ばら”して、こちらのお塩をかけてどうぞ」とひと言添えてくれます。“ばら”しながら食べるから、“天ばら”なんですね。他のメニューとは違い、見た目が少し白っぽいこちらの天丼。かき揚げの横にししとう、ご飯とかき揚げの間には白ごまが振られています。
先の細い品のある箸で、軽くかき揚げを崩していくと、芝エビが出てくる出てくる……エビ好きにはたまらない結構な量です。そこに粒の大きい岩塩を少しずつかけながら、口に運びます。しじみの赤味噌の汁との相性もいいですね。“名物”に相応しい内容かと思います。
天ぷらにアクセントを与える“カレー塩”も
天ぷら魚新は、ビル内テナント店ということもあり、土・日・祝も営業。私のように平日・休日関係なく老舗店を食べ歩いているタイプの人間には重宝します。知人とともに土曜日に訪れた際には、2人でテーブル席に座り食事をしました。私のオーダーはお昼のみのお得な「天ぷら定食」(1700円)、知人は「特製天丼」(1600円)を。天ぷら定食のこの日の内容は、海老2本に、なす、かぼちゃ、ししとう、キス、これにご飯、しじみの赤だし味噌汁と漬物です。カウンターであれば食べるペースに合わせて一品ずつ提供してくれますが、テーブル席の場合は、すべてが盛られて一緒に出てきます。
たっぷりの大根おろしを入れて、“天つゆ”で食べるほかに、“カレー塩”も付いています。 「キスなどには合いますよ」と店員さん。ちょっと変化をつけて楽しむのにはいいですね。思わずご飯が進み、おかわりをしてしまいました。ちなみにおかわりは無料です。
ランチタイムのメニューは既出の3つに加え、「穴子天丼」(1500円)と、「かき揚げ天丼」(1800円)、そして平日のみ提供している「野菜天丼」(1000円)があります。こちらの連載ではランチ料金は2000円以内を1つの尺度にしているので、ちょっと外れてしまいますが、昼のコース料理は、5000円・3800円・2800円のスリーライン。いろいろいただきましたが、個人的な好きなのは“名物に偽りのない”「天ばら」ですね。
日本初のエレベーターが稼働した年に源を発する天ぷら店でランチはいかがでしょうか?
■天ぷら魚新
住所:東京都中央区日本橋1-4-1
TEL:03-5205-7661
営業時間:11:00~15:30、17:00~23:00(日・祝は22:30まで)
定休日:無休(ビルの休館日に準じる)
地図:Yahoo! 地図情報