出発点は福祉車両
N BOXの派生車として誕生した「N BOX +」は、フリードからフリードスパイクが生まれたようにアウトドアユースを最も意識したモデルと思っていたが違っていた。
今年2月に行われた「ジャパン・キャンピングカーショー2012」において、N BOXベースの新コンセプトモデルを投入するという発表があったため、キャンピングカー仕様が出るんだろうとずっと思っていたわけだが、開発責任者の浅木泰昭さんは、「N BOXの福祉車両仕様はどうしようか?」と悩みながら、「N BOX +」の開発をスタートしたという。
日常ユースでも使いやすく
福祉車両を念頭に置くと、ラゲッジをスロープ型にしたのがよく理解できる。オプションのアルミスロープを装着することで車椅子のままスムーズに乗り込むことができるからだ。
さらに浅木さんによると、福祉車両専用車は荷室構造やリヤゲートの特殊な開閉方法(上だけでなく下側も開く上下分割式が多い)などから介護時以外の日常使いには向いていないという欠点を抱えるという。たしかに、ラゲッジには車椅子以外の積載や出し入れがしにくいし、いちいち上と下のリヤゲートを開閉しなくてはならない。
しかし「N BOX +」は、通常の上開きのリヤゲート開閉式なのに加えて、多彩な使い方ができるマルチボートを採用することにより、日常ユースでも使いやすい工夫が満載されている。
N BOXとN BOX +との違い
まず、N BOXよりも後席を前方に配置して約21cm長い荷室長630mmを確保し、これにより大きな荷物や長尺物が積載しやすくなった。リヤゲートの最低地上高は、N BOXよりも150mmも低い330mmになり、オートバイなどの重い荷物も楽に載せ降ろししやすくなっている。
また、身長190cmの人でも横になれる室内スペースなどにより車中泊ニーズにも応える、欲張りな仕上がりが自慢だ。
荷室はスロープを利用して車椅子、自転車や小型バイクが楽に入るだけでなく、マルチボードを使って上下分割式にすれば、マンションに住む人がクルマ(駐車場)と部屋を往復する際に重宝するという台車をラゲッジ下段にピタリと収まる設計とするなど、多彩なアレンジが可能だ。
逆に、後席のフットスペースはN BOXほど広大ではなく、足を組むのは難しいなどやや狭くなったものの、フィットと同等の膝まわり空間を確保しているというから、大人2人での乗車もまったく問題はない。
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