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オデッセイの新4WDシステム

月刊自家用車5月号でオデッセイ4WDに試乗する機会を得た。降雪地域のユーザー以外にも4WDの効果を使えるように準フルタイム4WDに進化したそのシステムを解説してみた。

執筆者:川島 茂夫


月刊自家用車5月号の取材でオデッセイ4WDに試乗する機会を得た。試乗記に関しては月刊自家用車を読んでいただきたいのだが、4WDシステムの進化がなかなか興味深い。

MDXに新システムを採用しているが、従来までのホンダ4WDにはデュアルポンプ方式を採用したリアルタイム4WDが使われていた。これは前輪と後輪のそれぞれに同期して回る油圧ポンプを備え、その油圧差によって後輪へのトルク伝達用クラッチを制御するというホンダ独自のシステムである。

完全にグリップしている時は前後輪とも同じ回転数(角速度)になるので、油圧差はゼロ。前輪がスリップして後輪よりも回転数が大きくなると、前輪油圧ポンプの発生する油圧が後輪油圧ポンプよりも大きくなって、その差圧がクラッチを押しつける。クラッチを押しつける力は前後輪の回転数差が大きくなるほど大きくなる。

つまり、前輪のスリップに応じて後輪にトルクが伝達される、いわゆるスタンバイ方式の4WDであり、システム構成は異なるが直列式カップリング方式(ビスカスタイプなど)の4WDと同じような機能を持つ。

ただ、この方式では前後輪の回転数差が大きくならないと後輪のトルクが伝達されない。雪道の発進や登坂のように著しく前輪がスリップする状況ではFFの直進性を保ちながら補助的に後輪の駆動力を使えるので誠に案配がいいのだが、速度が高くなったり、路面のグリップが良い状況になると回転数差があまり大きくならないため、ほとんどFF状態になってしまう。

そこで4WDのトラクションをもっと幅広い領域で使えるように考えられたのがオデッセイの新リアルタイム4WDである。従来のデュアルポンプ方式のシステムワンウェイ型ボールクラッチを加えることで、小さな前後輪回転数差ではボールクラッチにより、大きな領域ではデュアルポンプにより駆動伝達用クラッチを押しつけるようにしている。

これにより雪上走行の補助的な役割でしかなかったスタンバイ式4WDから準フルタイム4WDに進化。降雪地域のユーザー以外にも4WDの効果を使えるようにしているのが特徴である。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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