フレンチ/東京のレストラン

キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ(西新宿)(2ページ目)

フランス三ツ星店唯一の海外店である新宿でガストロノミー(美食)伝統を守るトロワグロ。モダンで洗練された空間で楽しむのは料理とともにある時間。そしてホスピタリティ。長きに亘り日本を愛するトロワグロファミリーの愛情が注がれるレストランであって欲しい。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

ストーリーを感じる美食の時間を

トロワグロ

小さなアミューズがほんとうに楽しく、そして美味しい

相変わらずアミューズは楽しい。トマトのフリトーは寿司をイメージしたものだろうか。遠めに見ると鮪の握りに見えてしまうのは年のせいか。セザールにインタビューしているときに「子供の頃、おばあちゃんの作ってくれたニョッキが最高に美味しくてね」なんて話に花が咲いたのだが、前菜の前に即席でそのニョッキを作ってくれたことは印象的だった。まさしくイタリア料理だが、食の記憶はそれがなんであれ料理人にとってとても重要なことに違いない。

アワビのサルティン・ボッカは肝のソースをうまく使い、アワビの食感をちょうどよく醸し出す。舌平目のフィレは本家でも有名な料理だ。白ワインと軽いクリームのソースにクルミの風味が添えられる。
トロワグロ

アワビのサルティン・ボッカに合わせるワインはイタリアのソーヴィニヨン・ブラン

軽くスパイスを効かせたラングスティーヌはそのソースを纏い船のような形で登場。白ワインとの組み合わせで新しい味わいの世界に少しずつ入り込んでいく。メインはピジョンのロティにフォアグラとチェリーが添えられる。前菜に軽めながらソースを多用し、メインはシンプルな調理法でガストロノミーを表現することを意図していたとしたら、食後感はいつもと違って心地良い「食加減」に包まれる。
トロワグロ

肉厚のラングスティーヌとソースのバランス加減がとても心地良い

そしてデザートはフルーツのインプレッション。写真の通り、見た目も味わいも可愛らしく、この時間からの会話を邪魔しないような配慮が料理に表現されている。
トロワグロ

メインはシンプルだが滋味深いピジョン

素材、調理法、見せ方、バランス、そして全体のストーリーに「完璧」なフランス料理の姿を見る。たまたまニョッキが出たり、サプライズもいいスパイスになる。

もちろん彼はいつもいるわけではないが、5年の歳月を経て脈々と受け継がれているトロワグロのエスプリにブレはないだろう。新宿でガストロノミーをと思ったらキュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロを思い出したい。
トロワグロ

美しく、甘く、美食のゴールに相応しいプティフール

キュイジーヌ[s]ミッシェル・トロワグロ
住所:東京都新宿区西新宿2-7-2
ハイアットリージェンシー東京1F
交通:JR新宿駅 徒歩9分 
地下鉄丸ノ内線西新宿駅 徒歩4分 
都営地下鉄大江戸線都庁前駅 A7出口 徒歩1分
新宿駅西口小田急ハルク前より20分おきに無料シャトルバスあり
予約:03-3348-1234
営業時間:
L:11:30~14:00(最終入店13:30)
D:18:00~21:00(最終入店20:30)
水休(1月~11月)
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