とにかく冷たい! 気持ちいいけど冷たい!
滝鑑賞であれば、他でもできますが、陣馬の滝の素晴らしいのは、その滝壺近くまで近づけ、清流の中に踏み入れ、水遊びできる点です。崖にそれほど高低差がなく、一番太いそれを除いては、打たれることだってできます。ただし問題は水圧では無く、その冷たさ。水温10度ぐらいなので、1分も打たれれば、がたがた震えること、うけあいです。清流も同様で、とにかく冷たい! 気持ちいいけど冷たい! きれいだけど冷たい! だから飛び込むのはラッシュガードを着た子どもぐらい。それも、すぐに笑顔凍てつき、腕を前で合わせ、唇を紫色にして、上がってきます。泳いでいる人はほぼ、いません。
クルマで都心から2時間半で、ここまで滝に親しめる水場は、そうそうないと思います。滝壺から下流への流れも穏やか。高低差がなくフラットで、下流しばらくには渓谷もないから、安心です。
水は富士山に降り積もる雪が融け、いったん地下に吸収された後の湧水と、五斗目木川(ごとめきがわ)上流とのブレンドだから、冷たいのです。
なぜ陣馬の滝かといえば、建久9(1193)年に源頼朝がこの滝近くに一夜の陣を敷いたから。
その夜、滝壺からドンドンと太鼓を打つ音がしたので、家来に滝壺を探らせると、中から太鼓の胴のような石が出てきたとそうです。この石は現在も、近くの遠照寺(おんしょうじ)の境内に保管されています。