木製甑(こしき、蒸し機のこと)とかめ仕込みで伝統の味わいを生む「重家酒造」
趣のある建物。この日は作業で大忙し。活気があった
白砂青松の美しいビーチが広がる筒城浜と印通寺港に近い港町にあるのが重家酒造。雪と見まごうばかりの白砂の意味を持つ「雪洲」がメインブランド。最近では「ちんぐ」のお蔵と書いたほうがわかるかもしれない。
昔ながらの甑。一気に蒸し上げる業が味につながる
「ちんぐは“友達”という地元の方言です。韓国語でも同じだってまったく知らずにつけたんです」と人気ブランドを生み出した四代目、横山雄三専務が笑って教えてくれた。バランスがよく風味豊かな「ちんぐ」は、東京をはじめとした中央でも人気の銘柄だ。
初代確蔵の代からという風情のある蔵には、やはり初代から使用される木製の甑(こしき)と仕込み用(一次仕込み二次仕込みすべてに使用)のかめがある。
焼酎蔵には珍しい麹室。清酒を作っていた名残
さらに奥には、清酒蔵のような麹室がある。
「2007年に新しくしました。麹室を持っているのはうちだけかもしれません。理由は昔清酒を造っていたからです。手作業だと細かい調整ができて機械にはできないこともできます」と語る。
仕込みはかめで行う。手間がかかるが味わい深い商品になる
原料は国内産にこだわる。銘柄によっては裸麦も使用する。テイスティングさせていただいた。「雪洲」は、きれいで華やかな香りが印象的。「ちんぐ」は滑らかで濃くパワフル。黒麹を使った「ちんぐ」はさらに濃く香ばしい風味。「御島裸」は骨太。後味は切れがありドライ。「確蔵2005年」は滑らかでまろみがある。「長期熟成古酒 村主」はさらに滑らかでやわらかく、奥深い印象。米麹を使うせいか熟成したときの変化がとても魅力的だ。
人気の「ちんぐ」をはじめ、バランスのいい味わいが楽しめる
夏に売りたいと考案した「ちんぐ 夏バージョン」はアルコールが19度。酵母を変えたとのことで、りんごのようなフルーティーさがありさっぱりとしてドライな味わい。ギランと太陽が照りつける夏、オンザロックがパーシャルショットでやるのがよさそうだ。
横山専務。製造真っ最中のお邪魔にもかかわらず親切にお付き合いくださる
「芋焼酎や麦100%焼酎の、香ばしさやパンチがウケている昨今、米麹の甘みで後味が甘くフルーティーで柔らかいコクの壱岐焼酎は難しくて」と話す横山さん。しかし、米麹を使うことが壱岐の麦焼酎らしさであることを大切に思い、麦焼酎というより「壱岐焼酎」として売っていきたいという言葉がとても印象的だった。
重家酒造合名会社
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