伝統蒸留(常圧蒸留)で、味わい深く濃厚な「壱岐の華」
巨大なタンク。タンクを持つお蔵は多い
敷地内にある大きなステンレスタンクが目印の「株式会社 壱岐の華」。味わいの特徴は、昔ながらの蒸留法(常圧蒸留)で造る、コクと麦の香りが感じられる味わい深い濃厚さだ。
主原料である米も麦もすべて島内産を使用。さらに酒造りにかかせない水にも秘密がある。島の地下水はミネラル分を多く含み、仕込みに不必要な鉄分がほとんどない硬水。あの日本酒の名酒を生み出す灘の宮水ととても似ているのだとか。硬水から造られる酒は味わいの成分が多く、骨組みのしっかりした酒になる。濃厚さの理由は水にもあったのだ。もちろんこの個性、熟成にも向く。
蔵の中で小売するお蔵が多い。こちらもそう
スタンダード商品の「壱岐の華」は、華やかさがありすっきりとしたコクと後味の甘い香りが特徴。100周年記念ボトルもある「初代嘉助」は、麦らしい香ばしさを楽しめる。樽熟した「秘伝黄金」は、ガツンと飲み応えがあり、樽からくるバニラの香りが印象的。
驚きのおいしさ! 冷凍酒!
アルコール40度を冷凍庫に。驚くおいしさ!
驚いたのは「壱岐の華 刻印ラベル」。アルコール40度を冷凍庫に保存した、いわゆるパーシャルショットを飲ませていただいた。その滑らかさといったらまるでチョコレートやモンブランケーキやカスタードクリームのように舌にとろりと心地よく、宝石の味わいとはかくなるかといった気分だった。ご家庭でも料飲店でもできる飲み方。ぜひ、お試しを。
長田社長が手にするのは、透明の徳利。使いやすそう
「若い焼酎は方言で“はしかい”(チクチクするような感覚のこと)といいます。熟成すると丸くなる。そういう状態がおいしい。昔は、アルコール40度の生粋(きっすい)を買ってきて家で水で割り飲んでいました。お客さんが来たらお茶を沸かすより早いので、その割り水した焼酎=うすものをお出ししたものです」とは長田浩義社長。伝統の味わいを生真面目に今に伝える造り手のお一人だ。
株式会社 壱岐の華