焼酎/麦焼酎

7月1日は壱岐焼酎の日、麦焼酎発祥の地をリポート(3ページ目)

大陸と古代日本の文化交流点であった長崎県壱岐は、麦焼酎の発祥の地である。さらに知る人ぞ知る食の宝庫。お酒とおいしいものと歴史に興味がある人にこれほどお勧めの場所はない。7月1日壱岐焼酎の日を目前に島内の焼酎蔵7社をすべて訪問。それぞれの特徴とお勧めの宿、店、観光スポットをたっぷり2回に分けてご紹介する。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

伝統蒸留(常圧蒸留)で、味わい深く濃厚な「壱岐の華」

壱岐の華タンク

巨大なタンク。タンクを持つお蔵は多い

敷地内にある大きなステンレスタンクが目印の「株式会社 壱岐の華」。味わいの特徴は、昔ながらの蒸留法(常圧蒸留)で造る、コクと麦の香りが感じられる味わい深い濃厚さだ。

主原料である米も麦もすべて島内産を使用。さらに酒造りにかかせない水にも秘密がある。島の地下水はミネラル分を多く含み、仕込みに不必要な鉄分がほとんどない硬水。あの日本酒の名酒を生み出す灘の宮水ととても似ているのだとか。硬水から造られる酒は味わいの成分が多く、骨組みのしっかりした酒になる。濃厚さの理由は水にもあったのだ。もちろんこの個性、熟成にも向く。

 

売店

蔵の中で小売するお蔵が多い。こちらもそう

スタンダード商品の「壱岐の華」は、華やかさがありすっきりとしたコクと後味の甘い香りが特徴。100周年記念ボトルもある「初代嘉助」は、麦らしい香ばしさを楽しめる。樽熟した「秘伝黄金」は、ガツンと飲み応えがあり、樽からくるバニラの香りが印象的。

 

驚きのおいしさ! 冷凍酒!

パーシャルショット

アルコール40度を冷凍庫に。驚くおいしさ!

驚いたのは「壱岐の華 刻印ラベル」。アルコール40度を冷凍庫に保存した、いわゆるパーシャルショットを飲ませていただいた。その滑らかさといったらまるでチョコレートやモンブランケーキやカスタードクリームのように舌にとろりと心地よく、宝石の味わいとはかくなるかといった気分だった。ご家庭でも料飲店でもできる飲み方。ぜひ、お試しを。

 

とっくり

長田社長が手にするのは、透明の徳利。使いやすそう

「若い焼酎は方言で“はしかい”(チクチクするような感覚のこと)といいます。熟成すると丸くなる。そういう状態がおいしい。昔は、アルコール40度の生粋(きっすい)を買ってきて家で水で割り飲んでいました。お客さんが来たらお茶を沸かすより早いので、その割り水した焼酎=うすものをお出ししたものです」とは長田浩義社長。伝統の味わいを生真面目に今に伝える造り手のお一人だ。

株式会社 壱岐の華
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