英国の習い事、親の負担は少ない?
日本のような集団でのお稽古ごとは稀
ただ、それが憂鬱にならないのは、集団ではなく個人の参加なので、親が人間関係などに拘束されないためでしょうか。どの親も、子供が習い事をしている間に買い物をしたり本を読んだり、思い思いの時間を過ごします。習い事をしているのはあくまでも子どもであって、親ではありませんから、そのあたりはあっさりと割り切れるのです。
ただ、子どもたちは学校も習い事もあるわけで、そこそこ忙しいですよね。そのため、学校が休みの土曜日の午前中などに習い事を入れる人が多く、土曜の朝はフットボールやバレエの格好をしたり楽器を持ったりして歩く親子連れが街のあちこちに見られます。
料金もさまざま。筆者が住んでいたスイスも、現在住んでいる英国も、日本に負けず劣らず、あるいは日本よりも物価の高い国ですから、楽器の個人指導などは日本よりも高いと感じることの方が多いです。でもロンドンは東京と同じく選択肢の多い大都市ですから、安い先生やサービスを探せば(学生など)それなりに見つかるもの。選択肢が少ない地方では、また事情は変わってくるかもしれません。
「周りがやっているから」はナンセンス。子育ての判断も個人主義的
いずれにしても、習い事をするしないを決めるのはお金を出す親なので、友達が他のことをやっていようが何だろうが、「我が家はこの方法で」とスッパリ言い切ります。大都市ロンドンなどは特に、それぞれの家庭の価値観も、文化的なバックグラウンドも、経済力もさまざま。どの習い事を選ぶか、どの値段でどんな先生やサービスを選ぶかも、あくまで個人的な判断なのです。欧州の個人主義が子育てにも現れていると感じる点です。
筆者の息子はあまのじゃくの筆者に似てしまい、この個人主義が肌に合ってしまっている模様。フットボール(サッカー)万歳の欧州にいて、どの子もみんなデフォルトのようにフットボールをやっているにも関わらず、「僕はフットボールは面白いと思わない。クリケットやテニスがいい」(←どうやら男子の常で、長い棒を持つのが嬉しい模様)と言ってサッカー教室を途中で辞めてしまいました。ギターの方がカッコいいと、ピアノの練習にもいろいろ文句を言っています。あれ、個人主義なんじゃなくて、サボるための言い訳ですかね……。