第73回 僕たちの結婚式は
いや~結婚式、マジでよかったです。実は「10の誓い」を読んだ白いタキシードの人はお友達。ふだんはガハハキャラのお調子者で、モテるし人気がある(ってことを自分でもよくわかってる系。こ憎たらしい)のをいいことにちょいちょい遊んでる…というイメージだったのですが(あくまでもイメージ。あとでいろいろ聞いたらそんなことないようです。本人の名誉のために訂正)、そんな彼があんなにおしとやかに誠実に彼氏への愛を誓うなんて…というのがツボだったのと、なんか、アイカタさんが絶対に表に出ないタイプ(聞けば、もともと妻子持ちのノンケさんだったのが、40歳くらいで目覚め、この世界のこともよく知らないまま、つきあいはじめたんだそうです)なのにもかかわらず、二人の愛の生活を永遠のものにしたいという思いで、結婚式に出ることを決意したというエピソードが、6年前のウチらの時とよく似てて(シンクロして)、それもあって、泣けたんだと思います。というわけで、今回は、2006年に僕らが結婚式を挙げたときの記事を、ダイジェストで再掲載してみたいと思います。この「お気に召すまま」のタイトル画像は、その結婚式の時のものなのです。
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恥ずかしそうに歩いているように見えますが、実はうまく一歩ずつ歩けなくて笑っている二人です。
式の1週間前、お揃いの指輪を買いに行きました。6年前にもペアリングを買ったのですが、店員さんがとても感じがよかったので、今回も○井(伏せ字になってないですね)に行きました。ゲイカップルの買い物には慣れてるようなのでオススメです。
当然のように、ウェディングドレスを着るの?と周りに言われまくりましたが(笑)、ダンナとも相談して、素顔で、普段着を着て臨もうと決めました。僕は日頃からヘンな格好をしてパフォーマンスすることが多く(この結婚式の直前にも股引をはいて胸毛をつけてフレディ・マーキュリーをやるというていたらく)、すでに友達の披露宴パーティでウェディングドレスを着たこともあったので、逆に神聖な式にはその方がいいと思ったのです。(…と書いていますが、実は、ダンナに普段着じゃなきゃ出ないと脅されたのです。もう時効よね)
結婚式をやるということでわざわざそのためだけに東京から来てくれた方も多く、本当に本当にうれしかったです。中には、何も言わずに駆けつけてブーケをくれた友達もいて、マジ泣きしました(サプライズに弱いの、ホントに)
たくさんのカメラを前に、やや緊張ぎみの中、いざ、式が始まりました。ステージまで延びた15mほどのバージンロードを、レディファーストでレズビアンのカップルが先に歩き始めました。「はっ、一歩ずつ歩いてる…」。そう、左足を出して右足をそろえ、それから右足を出して左足をそろえ…というバージンロードの歩き方を僕らは全く意識してなかった(誰も教えてくれなかった)のです。しかし、時すでに遅し、ぶっつけ本番で歩き始めたのですが、見事にぶざまな、ぎこちない入場行進になってしまい…でもあとで「恥ずかしそうな感じがほほえましかったよ♪」とか言われて、また恥ずかしくなり(笑)。そんなことがあったおかげですっかり緊張も吹き飛んでしまいました。
式を挙げてくれた神父さんは、バンド演奏もしちゃうビジュアル系風味なトランスジェンダーの方でした。式次第は本格的なもので、「病めるときも健やかなるときも…」の誓いもして、指輪も交換して、神父さんが首から下げている布(ストラと言うそうです)を二人が握った手に巻いて「神が引き合わせた二人を誰も離すことはできない」と述べてくれるところで、グッとくるものがありました。キスももちろんありましたが、照れ屋のダンナが0.1秒で強制終了(笑)。そして最後に、お約束のブーケトス。イメージとしてはブーケが空高くアーチを描く予定だったのですが…雨天を警戒してテントが張られていたため、屋根に当たってバッサリ落下(苦笑)。でも、ちょうど、本当に幸せになってほしいなと思ってた友達がそれを拾ってくれました(その友達は見事に彼氏ができました!)
式が終わってからも、みんなが口々に「おめでとう!」と言ってくれていっしょに写真を撮ったり、あらためてお花をくれる友達もいたり、ブーケを受け取った友達が「アタシ、幸せになるわ~」と号泣したり、そういういちいちが本当にうれしかったです。近所に住んでいる見ず知らずの外国人の方たちも「おめでとう!」って言ってくれたりして、ハレの空間というか、どんな人でもそこに参加できる、大勢の人が幸せを積極的に共有してる感じが、とても素敵でした。
たくさんの人に祝福されたこの結婚式は、一生に一度の記念になるような、とても貴重な経験でした。その場で見守ってくれたすべての人に感謝したい気持ちでいっぱいでした。