男は大なり小なり程度の差を除けば、皆マザコンというのは一種の自然の摂理ですが、彼女の前ではマザコンっぽい姿は禁物ですよ!
男は皆、マザコンと言ってしまえば、いささか極端な話ですが、「母親なんていらない」と、心から思っている男は、まあゼロでは無いにしても、限りなく(?)ゼロに近いはず。
ここでは、もちろん程度の差を抜きにしての話ですが、男は皆、マザコンという事にしておいて、問題となるのは、やはり、その程度。もしも、マザコン男と結婚したら、ろくな未来は無いと思い込んでいる女の人は多いはず。
今回は、マザコンを自覚している男性なら、そうなった自分がよく分かるように、女の人はマザコン男をよく理解できるように、精神医学的観点からマザコンを詳しく解説します。
そもそものルーツは、まだ幼かった、あの頃?
では、「世の男性がマザコンになった、そもそもの発端はいつ?」と問えば、「やっぱり生まれた時?」と、答える女の人は、いるかも知れませんが、マザコンのルーツが子供の頃にある事は確か。ただ、生まれた時というのは、いささか早過ぎ。何かを覚えていたりするはずは無いですが、まだ、「ママ、ママ」と言って、母親の洋服の後ろに、まとわりついていた5、6歳頃の事なら、何かしら記憶に残っているのではないでしょうか。
カラフルな小さな国旗が並んでいた、あの、お子様ランチは、大人になってから食べたどんなご馳走より、おいしかった気がする人は少なくないかも。もしも、あなたが男性なら、その頃の母親のイメージをよく思い起こしてみれば、実に素敵な女性だったりしませんか?
実は、5、6歳頃は異性への関心が生まれて初めて芽生える時期で、エディプス期と呼ばれています。このエディプス期とは性的発達段階の一つで、著名な精神医学者ジークムント・フロイト(1856~1939)によれば、人は生まれてから、いくつかの性的発達段階を経て大人へと成長していきます。もしも、子供が性的発達段階のどこかで、つまづいてしまうと、フロイトの理論によれば、大人になってから、心の病気のリスクが高まるのです。マザコンが極端になってしまった人の場合、このエディプス期に生じた心の葛藤を大人になった後まで引きずっている可能性があります。
マザコン男は父親が怖い?
エディプス期に生じる葛藤の主な原因は、母親への憧れと、父親を怖れる気持ちという、2つの相反する感情が元になっています。小さな男の子が初めての異性として母親に憧れても、母親は父親の相手です。男の子は子供心に父親を憎んでしまうと同時に、父親から叱られるのを怖れてしまいます。もっとも、「そんな小さな子供の頃の事なんて、仲間同士で遊んでいた事ぐらいしか覚えていない」という人なら、この相反する気持ちに、うまく折り合いをつけて成長していった人ですが、人によっては、この時期に生じた葛藤が心の奥底に残ってしまう事があります。
もしも、マザコンを自覚している男性なら、心の奥底に父親を怖いと思う気持ちがあるはず。たとえ、「父親? リスペクトはしても、全然、怖くないよ」と言う人でも、油断は禁物。実は、怖い相手が父親では無く、他のモノに変わっている可能性があるからです。フロイトが紹介した有名な症例として、父親の代わりに馬を怖れるハンス少年の例があります。もしも、「雷が怖い」「蛇が怖い」といったように、何か恐怖を覚える対象があり、もしも、それが幼少の頃から続いているものなら、父親の象徴として、こうしたモノに恐怖を感じている可能性があり、エディプス期に生じた葛藤が大人になった後まで残っていると見る事ができます。
思春期に母と子の関係が強化?
もしも、「マザコン!」と、周りから、はっきり分かるような男性なら、幼い頃に芽生えた母親への意識が、思春期の体験を通じて強化された可能性が充分あります。
例えば、病気で入院していた時、母親が差し入れを持ってきてくれて、うれしかった。あるいは、母親は仕事帰りで疲れているにも関わらず、塾の送り迎えを引き受けてくれた。さらには、遠くの学校に進学して、下宿していた頃、母親が頻繁に食事を作りに来てくれた。就職活動でプレッシャーがかかっていた時には、母親の励ましが本当に有難かった……など、こうした体験を通じて、母親には逆らえない心理が形成されたとしても、これは言わば、自然の摂理である事は女性の方も否定できないはず。
とはいえ、マザコンが行き過ぎてしまえば、何かと弊害が出てくるもの。例えば、彼女と食事中、母親から電話がかかってきた途端、彼女にとっては頼りになる存在の、彼の言葉づかいが、たちまち変化してしまい、従順な息子になっているさまを彼女が目の当たりにしたら、思わず幻滅してしまうかも。とはいえ、何事にも解決策はあるものです。
人は身近な人に影響されやすい
上記の場合、「これから先、誰と一緒に過ごす時間が長いのか、この人、分かっているのかな?」と、彼女は思わず思ってしまうかも。実は、これが彼のマザコンを改善させる原動力! 人は身近な人の影響を受けやすいもの。実家を出て、自分の伴侶と暮らしているうちに、徐々に、その相手の考え方に同調してくるものです。実際、彼女にとっては、彼は、ただのマザコンでも、久しぶりに彼の実家に帰省すれば、「まあ、この子、すっかり、あの嫁に染まってしまっている」と、母親が嘆く事は少なくないはず。
とはいえ、マザコンは長い年月をかけて、しっかり心に形成されたものなので、自力で改善させる事はなかなか困難。身近な人の助けが必要ですが、その際、彼女は、あからさまに彼の母親を否定するのはNG。彼の心には、苦しかった時、支えてくれた母親の姿があり、そんな母親を彼が否定できるはずはありませんが、彼のちょっとした言動がいかに彼女を傷つけているかは、彼には是非理解してもらいたいもの。少なくとも彼女の前では、上記の例のようなマザコンっぽい姿を見せないデリカシーを身に付ける必要がある事は、彼には落ち着いて考えてもらいましょう。
以上、マザコンは程度の差を除けば、男性にとっては自然な感情ではありますが、それが極端になってしまった場合、例えば、マザコンのそもそもの発端となった幼少期の葛藤が、何かへの恐怖症といった形で現われている場合、精神科(神経科)での治療が必要となる場合がある事は是非、ご留意ください。