当てにならない住宅価格の都市伝説
また、よく住宅価格に関する都市伝説のようなものを目にします。例えば「口コミサイト」で、どこどこのハウスメーカーはこれくらい値引きしてくれたなどという記事を見かけますが、はっきりいって信用しない方がベター。インターネットの情報というのは、誰が書き込んでいるのかわかりませんから注意が必要です。本当の住宅の適正価格を知るためには、複数のハウスメーカーから見積もりを取ることが大事。提案内容など様々な検討の中で、一番納得できるものが適正な価格だ
そもそも値引きありきで住宅取得にのぞむのはあまり感心できないことです。私の知り合いに住宅の営業を長くされた方がいますが、「値引きばかり気にされるお客さんは実は扱いやすいんですよ」と話していました。
それは小難しい提案が必要なく、その結果、営業経費がかからず効率よく住宅を提供できるため、そこそこ標準的な利益が出る、手離れの早い住宅が供給できるからです。つまり、私たちが「値引きできた」と思っていても、実はそうお得ではない住宅となるケースがあるということです。
では、適正な値引き額はいくらくらいなのでしょうか。表現を変えると、このことは結局、「適正な住宅価格とは?」という話につながっていきます。が、正直なところ適正な住宅価格、値引き額などというのはありません、というのが私の見方です。
地道に依頼先を検討することが「適正価格」への近道
もしあるとすれば、それは月並みですがハウスメーカーなど数社と商談を進めながら、その中から皆さんが「これなら納得できる」と感じられた金額が適正なのだと思います。数社の中には様々な提案があり、その中で皆さんが「これは譲れない、ここは妥協できる」と精査した中から出てきたものが適正なものなのです。デフレ経済の中で住宅もその影響を免れない。しかし住宅は家族の暮らしや財産を守る存在。安心安全や品質、住み心地など様々な面を考慮して「良い住宅」を手にしたいものだ(写真はイメージ)
ところで、今はデフレの世の中。モノの価格が下がっていく中で、住宅もその例外ではないといわれています。その中で「ローコスト住宅」などという存在も誕生しました。一方で、近年は「住宅は値引きされてしかるべき」という風潮も顕在化しています。それは、ハウスメーカーを含めた住宅業界全体の責任もあるといえます。
ですが、前ページでも申し上げたように住宅は皆さんの暮らしを支える重要な存在です。私も一人の消費者として皆さんが値引きに関心があることはよくわかりますが、質や性能など基本的な部分にまずは注目して、住宅取得を検討していただきたいと思います。
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