今回は久々に、住宅取得に関わるお金についてのお話。住宅取得を決断する上で、取得費用がどれくらいになるかは重要なポイントです。しかしその判断には難しい様々な要素が絡んできます。その一つが「値引き」です。どのくらいまで値引きしてくれるのか、その適正な姿がわかりませんし、何より値引きそのものをどのように考えればいいのかさえ、これから住宅取得を目指そうとする方には理解しづらいものがあると思います。

ハウスメーカーの「値引き」についての方針は?

まずは、最近の大手ハウスメーカーの値引きに関する考え方についてご紹介しましょう。基本的には「値引きしません」ということを、私たち住宅マスコミの人間には表明しています。というのは、一時期、値引きを行いすぎて経営体質を悪化させたという苦い経験があるからです。

値引き

住宅取得の大きな関心事の一つは、いかに安く取得できるかということだろう。いくら値引きしてもらえるかは気になるところだが、値引きありきで住宅取得を検討するのは考えもの

例えば最近、テレビなどの家電製品の業界では製品の価格がどんどん下がり、その結果、それらを製造するメーカーの経営体質の弱体化を招いてしまっています。それと同じようなことが住宅の世界でもかつてあったとイメージしていただければと思います。

さて、では全く値引きを行っていないかというと、実はそうでもないようです。例えば、数社と競合になった場合にはよくみられます。ただ、施主に誠意や熱意を見せるという意味で、いわばお付き合い程度で若干の値引きの提案を行うなどというケースが大半といいます。

値引きのスタイルも以前とは異なってきています。最近ですと住宅の建築費用そのものについては値下げせず、例えば「太陽光発電システムの設置費用をサービスしますよ」などという感じで行われています。このような手法で値頃感やお得感をアピールすることが一般的になっています。

値引きから見える営業スタッフの善し悪し

つまり、あからさまな値引きを行うというケースは少なくなってきているということ。こうした傾向は、特に質の高い住宅づくりを行っているハウスメーカーに顕著で、逆に言うとそうではないハウスメーカーだと、値引きに大きく依存していることがあるようです。

営業マンと顧客

良い営業マンなら決して値引きをちらつかせる商談はしない。まずは建物の性能や品質、住み心地などの説明や住まい方の提案に重きをおいてじっくり丁寧に接客する

質の高い住宅づくりをしているハウスメーカーには、質の高いスタッフが多く存在するものです。そうしたスタッフには高度な知識や提案力がありますから、あまり値引きで施主の興味を引く必要がないのです。値引きよりも、まず施主の住宅づくりに役立つこと、納得してもらうことを優先して行動します。

見方を変えると、知識や提案力に乏しいスタッフほど値引きに頼りがちになります。悪質な事例ですと、出会った瞬間から「お安くしますよ」と値引きをちらつかせるケースも。まだ、建築計画の具体像もない中で、値引きをアピールするのはおかしな話。実力がない証拠です。

値引きについての姿勢をみることで、ハウスメーカーや営業スタッフなどの姿勢や能力の善し悪しが判断できるというわけ。住宅というのは、東日本大震災や阪神淡路大震災の例を出すまでもなく、皆さんの人生や家族、財産を守る大切なものです。

ですから、例えば家電製品を購入するのとは異なる意識で住宅取得に望むべき。安易に値引きを迫るのは考えものだと思います。考えてもみてください。住宅は何十年も住み続けるもの。家電製品のように数年単位で買い換えるものではありません。数十年にわたる保証制度も必要ですから、ハウスメーカーはしっかりと利益を確保しておく必要があるのです。

さて、次のページでは値引きについてさらに掘り下げて考えていきたいと思います。