2014年4月に8%、2015年10月に10%へ
消費税増税法案が衆議院を通過
野田内閣が進めている社会保障と税の一体改革。消費税を現行の5%から2014年4月に8%に、2015年10月に10%にする方向で、法案が審議され、6月26日衆議院で賛成多数で可決されました。今後、参議院に法案審議が移りますが、国と地方の長期債務残高が900兆円を超える中、増税の時期が迫ってきていることを感じます。消費税のアップは、とりわけ価格の大きいマンションや一戸建てなどの不動産マーケットに大きく影響します。仮に土地価格2,000万円、建物価格2,000万円(税別)のマンションの場合、現行の消費税率5%であれば、土地価格2,000万円(非課税)+建物価格2,000万円+消費税額100万円=4,100万円が販売価格ですが、消費税が10%となると消費税額200万円となり販売価格が4,200万円になります。このケースでは、100万円のアップになります。消費税増税は、不動産価格に大きく影響しそうです。
1997年4月の5%アップ時には駆け込み需要も
景気低迷で、不動産価格は大きく下落
消費税がはじめて導入されたのが1989年(平成元年)の4月で当時の税率は3%。その後、1994年(平成6年)11月に消費税を5%とする法案が成立し、橋本政権時の1997年(平成9年)の4月に消費税が5%に引き上げられました。当時は、消費税増税をうけて住宅市場は、活性化。1995年(平成7年)の住宅着工件数は147万戸でしたが、1996年(平成8年)の住宅着工件数は164万戸にアップしました。しかし1997年には138万戸、1998年(平成10年)には119万戸と、消費税アップ後は着工件数が大きく落ち込みました。1997年4月の消費税アップ後には景気が悪化、山一ショックなどもあり住宅市場も低迷しました。
金融機関の不良債権問題も顕在化し、企業のリストラが加速、社宅などが不動産市場に放出されその後のマンション大量供給時代の一因になりました。公示地価の動向を見ても、1995年に一時下落幅が縮小したもののその後下落トレンドは続き、2007年(平成19年)に上昇に転じるまで長期の低迷が続きました。
中古マンション価格も、2003年(平成15年)まで長い下落トレンドが続きました。当時の上昇幅は2%。不動産価格の面だけで見ると、前回の消費税増税時は駆け込んでまで買うメリットは大きくなかったかも知れません。
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