高級賃貸マンションにおける「コミュニティ」の実態
「六本木ヒルズレジデンス」で行われた入居者向けアロマセミナー
とはいえ、マンション内のサークル活動と聞いてまずイメージするのは、子育て世代の多い郊外物件。都心の高級マンションにおいて「コミュニティ」は、やや縁遠いキーワードだと捉えられていた。ましてや、“一時的な住まい”である賃貸マンションはなおさら。だが、そんな先入観を覆す高級賃貸が存在する。「愛宕グリーンヒルズ フォレストタワー」だ。
きっかけは、フロントで目にした1枚のチラシ。入居者限定で近所のレストランを貸し切って「ワインの試飲会」を開催するという。てっきり開店PRか何かだろうと思っていたら、この手のイベントはごく頻繁に行っているのだとか。参加のほどを尋ねたら、朝から応募をはじめ、昼過ぎには定員30名がうまったそう。にわかには信じ難い盛り上がりようである。
「ここにしかない資源」を活用
MORI LIVING コンペ
物件案内パンフレットもユニーク。春、夏、秋、冬と称して、そのときどきのイベントがこと細かく解説されている。春は、「花見ウォーキング」(今年の参加者は総勢およそ50名)、夏は「東京湾花火大会」(希望者が多すぎて、スカイデッキでの見学は時間(交替)制を取らざるを得なかったそうだ)、秋は、外国人顧客の評判がとくに良い「坐禅体験ツアー」(現地隣の「青松寺」で開催)、そして冬には「サンタクロースデリバリー」や「天体観望会」が開かれる。
「コミュニティは、イベントの数次第ということ?」。そう捉えるのは早計だ。企画は入居率がまだ5割に満たない時期に、「どうしたら魅力的な住まいになるか」をロケーションや建物の特徴を熟慮し、生まれたアイデアが多い。年々改良を重ねているから参加者の満足度も高くなる。ちなみに「天体観望会」は、入居者に天文学者の方がいたことからスタートしたという。「手作りであること」「ここにしかない資源を活用したオリジナルであること」がポイントといえそうだ。