江戸時代に生まれた碁盤の目状、
伝統と人情の残る街
主な商業施設は浅草通り沿いにあり、観光案内所なども設けられている
浅草、押上という2つの話題の街の間に挟まれた本所吾妻橋。駅周辺の街は江戸時代に周辺を縦横に流れる横十間川や北十間川、竪川などを掘削した土で埋め立てられてできており、当時から現在のように碁盤の目状に区画が作られていたという、日本では珍しい街です。江戸時代の地図を見ると、大名の下屋敷や幕府の組屋敷、小役人(と、このままに書かれている)などが居住していたことが分かります。本所は元々は墨田区の南側を総称する名称で、昭和22年に向島区と合併して墨田区が誕生するまでは本所区があったほど。ここでは駅周辺の吾妻橋、東駒形、本所、向島の一部を取り上げることにします。
アサヒビール、東京スカイツリー、そして墨田区役所が並ぶ。吾妻橋のたもとから撮影
さて、現在のこの街で目立つものといえば、隅田川沿いに建つアサヒビールと並んで立つ墨田区役所でしょう。最近ではそこに東京スカイツリーが建ち、浅草を訪れた人は必ず、これらが入った写真を撮っているほどです。店舗などが集まっているのは吾妻橋から東京スカイツリーに向かう浅草通り沿い。佃煮やどじょう、包丁、箸などの老舗も多く、歴史を感じます。
通りから一歩入ると低層の建物が中心になり、車もほとんど通らず、静か
しかし、通り沿いを除けば店舗等はあまりなく、一歩裏へ入ると住宅と小さな工場、寺などが混在する静かな街が広がります。特に浅草通りから南側は目立った観光スポットや店があるわけではないため、わざわざ訪れる人もいないのでしょう、車の往来も少なく、のどかな雰囲気です。
古めかしい佇まいの店舗や喫茶店、飲食店が残り、こうした建物などが好きな人にはウォッチングも楽しいかもしれない
ところどころにある商店や飲食店は古めかしい佇まいの店舗が多く、住宅も同様。これまであまり変わってこなかった街という印象です。ラーメン350円、もんじゃ300円など、今どき信じられないような価格の店もあり、地元の人ばかりのランチの行列なども見かけました。
墨田公園の一角にある牛嶋神社。元々は水戸徳川家の下屋敷があったエリア
また、歩いている最中に耳にした太鼓の音に驚いて近寄ってみると、子ども達が地元の牛嶋神社の大祭に向けて稽古の真っ最中でした。祭りが日常生活の中に生きているのは下町ならではでしょう。
よく手入れされた植栽を見かけることが多く、見ていると穏やかな気分に
街を歩いていてもうひとつ、気が付いたのは、歩道や住宅の前に花や観葉植物などを育てているお宅が多いこと。今回のエリアには公園などはないのですが、植栽や街頭の緑が季節を感じさせてくれます。
お隣、押上と業平橋のキャラ、おしなり君のように有名になれるか、吾妻橋のあづちゃん
とはいうものの、東京スカイツリー誕生を受けて街には変化の予兆が見られます。吾妻橋地区活性化協議会ではあづちゃんなる吾妻橋のキャラクターを作り、浅草通り沿いに
案内所兼ショップを展開。地元を盛り上げようとしています。
開業前の4月にオープンしたばかりという住宅展示場。周辺の古い木造住宅の建て替えを狙っていると思われる
不動産会社店頭には東京スカイツリーに近いこと、見えることなどを売りにした広告が並んでいましたし、源森橋近くにはこの4月に住宅展示場がオープン。古い住宅の多いこの街での建替え需要を期待しているようです。
さて、続いて気になる
都営浅草線本所吾妻橋の住宅事情を見ていきましょう。