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高尾、相次ぐ大型商業施設開業等で宅地開発も急ピッチ

高尾といえば世界的にも人気の高尾山を擁し、観光地というイメージが強いが、このところ大型商業施設の開業が相次ぎ、圏央道開通などもあって利便性が大きく向上。宅地開発も進んでいる。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

圏央道開通で足回りの利便性アップ

高尾山駅前

外国人客も多く、国際的にも人気の高い観光地・高尾山(クリックで拡大)


2007年に仏タイヤメーカー「ミシュラン」の観光ガイドブックで最高の三つ星を得た高尾山(東京都八王子市)は年間260万人以上の登山客が訪れる「世界一登山客の多い山」。新宿から約50分で行けるにも関わらず、都内とは思えないほどの豊かな自然が楽しめる場所である。

そのイメージから観光地として認識している人も多い。最寄り駅京王高尾山口周辺は確かに観光メインのエリアだが、その一駅手前、JR中央線、京王線の交差する高尾となると普通の街。近年は大型開発が行われてもいる。

圏央道

圏央道の位置。完成すれば混雑する都心部を経由せずにモノ、ヒトの往来ができるようになる(クリックで拡大)


その背景にあるのは交通の利便性アップ。現在2020年度の全線開通を目指して都心から40~60キロ圏を環状に繋ぐ圏央道の建設が進められているが、高尾はそのうちの中央道と東名高速の中間に当たる。その相模原相川ICと高尾山IC間が2014年6月に開通、中央道の八王子JCTと東名の海老名JCT間の28.8キロが約17分で繋がれたのである。

高尾山口駅

高尾山口駅。さすがにこのエリアは観光の色が濃い(クリックで拡大)


八王子方面から富士、伊豆、箱根など神奈川、静岡方面へのアクセスが良くなったのはもちろん、そうしたエリアと併せて高尾山を訪れることも可能になったわけで、今後ますますの観光客増が見込まれる。また、観光以外でのモノ、ヒトの流れが変わる期待もあり、八王子市内では大型商業施設等の開業が相次いでいるのだ。

大型商業施設開業相次ぐ、八王子市

温浴施設

駅構内からつながる温浴施設。下山後立ち寄る人も多い(クリックで拡大)


たとえば、高尾山口駅では2015年に日帰り温浴施設を開業するに伴い、駅舎を大規模リニューアル。合わせて駅前広場の整備なども行われており、観光案内所も駅舎内に移動している。同年には高尾山の魅力を知るTAKAO599ミュージアムも誕生。自然、登山路などについて知るだけでなく、八王子市全体の魅力を知り、くつろぐ場として活用されている。

建設現場

高尾駅から数分。マンションに続き、ショッピングセンター建設が行われている現地。一画には一戸建てエリアも用意されている(クリックで拡大)


高尾駅周辺では南口側の、半導体関連の工場跡地を利用、大型商業施設が誕生する。うち、ホームセンターはすでに2015年に開業しており、もう1カ所のショッピングセンターは2017年6月末完成を目指して現在建設中。現場は非常に広い敷地で、2014年に隣接する日野市にオープンしたイオンモール多摩平の森の2倍以上で、近隣では有数の規模のショッピングセンターになるとか。これまで駅前に一般的なサイズのスーパーがあっただけの高尾からすると、一気に利便性がアップすることになるわけだ。

高尾駅

木造の風格ある駅舎は他の場所に移転、保存する予定だ(クリックで拡大)


また、現在は大きく回り込まないと行き来できない駅の南北を自由に通行できる通路を作り、駅舎を橋上化、北口駅前広場を整備するなどの工事が2016年度から始まる予定となっており、完成は平成33年度の予定。これで駅周辺の利便性も大きく変わる。

ちなみに八王子市では八王子駅南口、北口のそれぞれ、八王子市滝山町の八王子インター北近くなどにもこうした大型商業施設開業の計画があり、市全体として大きく変わっていきそうである。

地盤は良好、問題は都心との距離

足回り、生活の利便性アップを踏まえ、住む場所としての高尾はどうか。ひとつ、大きなポイントになるのは地盤の固い場所であるという点だ。前述したようにこの地には半導体関連の工場などがあるのだが、こうした工場は水、空気のきれいな、地盤の良いところに立地する。高尾駅周辺は台地で、そうした要件を満たした場所というわけだ。安全を優先したい人ならうれしい点だ。

南浅川

南浅川では休日を川辺で過ごす親子連れの姿も。水がきれいで気持ちよさそうだった(クリックで拡大)


また、言うまでもないが、自然環境にも恵まれている。高尾山はもちろんだが、高尾駅と南浅川を挟んだ反対側には多摩御陵があり、多摩森林科学園という、自然を知るための場もある。街全体として緑が濃く、また、南浅川には子どもたちの遊ぶ姿も。都内で自然の流れと戯れられる場所はそうそう多くはないはずだ。

京王高尾駅

京王線利用でも50分強。写真は京王線高尾線の高尾駅前。ロータリーを囲んで古いマンションが建つ(クリックで拡大)


ただ、なんといっても問題は都内までの所要時間。高尾は中央線の始発・終着のある駅で、新宿駅24時15分発に乗れば午前1時8分には帰り着く。成田、羽田へもバス便が利用できる。前述した車利用での利便性も考えると、決して不便というわけではないが、それでも都心まで約50分である。遊びに行くなら近く感じられるだろうが、毎日の通勤で使うとなると、感じ方は人それぞれ。職種などによっても違うだろう。この辺りは実際に住んでみて考えてみるのが手。いきなり購入というより、賃貸でしばらく暮らしてみてはどうだろう。

新築マンションで3000万円前後~、中古なら2000万円台も

一戸建て中心の住宅地

駅周辺は平らな場所だが、少し離れると傾斜のある地形で一戸建てが多いのはそうしたエリア(クリックで拡大)


最後に住宅価格を見ておこう。まず、新築建売一戸建てで戸数の少ない現場では4000万円くらいからだが、街並みとして整備された戸数の多い現場では5000~6000万円ほど。エリアの価値をどう考えるかで選択が別れる。

商業施設

京王高尾線の高尾駅近くには商業施設がコンパクトにまとまっている。周辺には地元の名物八王子ラーメンの店なども(クリックで拡大)


新築マンションでは70平米前後で3000万円が目安。新築、中古ともに比較的専有面積の広い、90平米近くの物件もある。中古は駅近くに物件が集中しているが、物件数自体はそれほど多くはない。築年では40年前後の古い物件もあり、価格は70平米前後で2000万円台。2500~3000万円の予算があれば、かなり選べる。ただし、物件数、供給数ともに多くはないので、タイミングが大事だ。

プロパンガス

物件によってはプロパンバス使用ということもあるので、その場合にはガス料金が多額に及ばないよう、目安を聞いておきたい(クリックで拡大)


賃貸はワンルームマンションが5万円内外、2KDで6万円~7万円が中心、3DKになると8万円前後といったところ。ファミリー向けには10万円前後~の2LDK~3DKの一戸建てなどもお勧めだ。

風情のある住宅

ごく一部だが、旧甲州街道沿いには古い家も残されており、古くから人が住んできた場所であることが分かる(クリックで拡大)


住む環境としては恵まれた地、高尾。高尾山に遊びに行くついでにチェックしてみてはどうだろう。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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