自家製粉された手打ちそば、田舎そばも
清澄通りから少しだけ奥まった同店入口、暖簾(のれん)をくぐり中へ入ると、店内中央に複数のテーブル席、左手奥に座敷席を確認することができます。決して古めかしくはなく明るく綺麗な同店は、土足厳禁。入口では靴を脱ぎ、番号の書かれた紙をもらうスタイルです。老舗店、そば店としては珍しいですね。スリッパに履き替えて、席へと通されます。この日は、知人と2人で入口に近いテーブル席に着席。知人は、好きだという「鴨汁せいろ」(1785円)を、わたしは過去に普通のそばは何回か食べていたので、以前から気になっていた「田舎そば」(945円)をオーダーすることにしました。
温かい鴨汁には、鴨肉に加え、つみれやきのこなどが入っていて、見た目も食欲をそそってくれます。一方の田舎そばは、想像通り、粗く挽かれたそば粉を感じる色の濃い一品。風味も含めていただきます。
田舎そばはもちろんですが、同店のそばは総じて粗めに挽かれ、手打ちされています。素材にもこだわり、そば粉は国産の玄そば、汁は鹿児島県枕崎の一本釣本枯節を使用。化学調味料を使用せず、辛過ぎない上品な仕上がりです。そばが扁平に切られているのも他店と違う大きな特徴ですね。
貴重な日・祝営業、おすすめは限定20食の「そば御膳」
同店のランチタイムには、“おすすめ”として店頭にも掲示されている、1日20食限定の「そば御膳」(2100円)が目を引きます。内容は「そば豆腐」、「鮪の山かけ」、「天麩羅」、「せいろ又はかけ」、「わらび餅」です。過去にいただいたことがありますが、一度に運ばれるとテーブルに乗り切らない可能性があります。先日13時前に、1人で伺った際に「まだ、そば御膳はありますか?」と確認すると、「残り1食です」とのこと……迷いましたが(流れを汲んで)注文を。
まず初めに、「そば豆腐」と「鮪の山かけ」2品が登場します。他の席を眺めると、この2品でビールやお酒を飲んでいる人たちの姿が。そんな人たちに「おそば、お持ちするのは後にしますね」という気の利いた店員さんの声も……。気温も上がるこの時期、この2品でビールなどを飲みたいところですが、平日で仕事の関係もありグっと我慢をしました。
その後、頃合いを見計らい残りの品々が、大きなお盆に載せられ、一度に運ばれてきます。天ぷらのつけ汁と、そばのつけ汁が一緒の店もありますが、同店では分けられています。また、老舗そば店では、提供される一品の“量”が少ないという傾向がありますが、こちらでは天ぷらもそばもしっかりと量がありますね。
浅草や上野、銀座などのように、休日でも人があふれるエリアではない場所で、日曜や祝日も営業している貴重なそば店。次回は休日におじゃまして、そば御膳の2品や、単品メニューの、「そばがきのつけ焼」(735円)や「にしんの姿煮」(840円)などで“昼飲み”をしたい……そんな思いを携え、同店を後にすることに。
天保の大飢饉の2年前に創業したそば店で、ランチはいかがでしょうか?
※2017年11月閉店(同じ場所で店名を変えて営業予定)
■京金
住所:東京都江東区森下2-18-2
TEL:03-3632-8995
営業時間:11:30~15:00、17:30~21:00
定休日:月・火(祝日の際は営業)
地図:Yahoo! 地図情報