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宮城県に誕生 初の本格的「スマートタウン」の見学記(2ページ目)

4月末に、宮城県で分譲が開始された我が国初の本格的なスマートタウンを見てきました。今回はそのレポート。スマートタウンについてだけでなく、「上質な街づくりとは何か」についても考えていただける内容です。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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今回は「グリーンファースト ハイブリッド」仕様の7戸が公開。3電池のほかにも制震システム「シーカス」の搭載や次世代省エネ基準への対応など、積水ハウスらしいグレードの高い住宅づくりが垣間見られました。

緑化や道路配置など周辺環境にも配慮

スマートハウスと一括りに表現されますが、大切なのはまず建物そのものの断熱性や耐震性など基本性能。もちろん通風や採光への配慮など、自然環境を住宅内に取り込む設計も行われ、住まいづくりの基本的な要素がしっかりと盛り込まれていました。

電気自動車

電気自動車に充電する様子も公開された。災害時にはガソリンが不足することが予想されるが、PVやエネファームで生み出される電力を使う電気自動車なら燃料不足の心配が少なくなる(クリックすると拡大します)

蓄電池は室内置きの鉛タイプ。同社によると「大容量の電力を蓄えることや安全性を考慮して採用した」とのこと。公開された際にはブレーカーを落として、自動制御でPVやエネファームから電力が供給される様子も見ることができました。

スマートハウスというと、HEMS(ホームエネルギーマネジメント)やPVなど創エネアイテムなどを組み合わせたもの、エネルギーの「見える化」を行うものと思われがち。ですが、それらを自動制御する技術も大切なポイントなのです。

「上質さ」の理由は住戸だけにとどまりません。街づくりの全体的なコンセプトにこそ注目すべき。「スマートコモンシティ明石台」に限りませんが、積水ハウスの街づくりの特徴は、周辺環境との調和や地域コミュニティづくりへの配慮があります。

例えば、公開された「グリーンファースト ハイブリッド」街区には「コモン」(共有という意味)と呼ばれるスペースがあります。これは住民同士の触れ合いや交流を促す場所。このほか、住民の安全を考慮した道路の配置や、街全体にも公園や緑が数多く設けられているのも特徴的です。

植樹には、地域に自生する樹木を植える「五本の樹計画」というノウハウも生かされています。これらは地域に良好なコミュニティを生み出す仕掛けでもあるのですが、街づくりに数多くの実績を有する積水ハウスを象徴するノウハウです。

人と人との「絆」や地域コミュニティの大切さは、東日本大震災以降改めて注目されるようになったこと。それは災害時はもちろんですが、平常時にも防犯や治安の確保に効果を発揮し、将来的に街や住宅の資産価値を維持することにつながるのです。

良好なコミュニティ形成もスマートさの秘密

スマートタウンに限りませんが、街づくりの上質さというのは街の景観の整備や住民のコミュニティのあり方に表れてくるものなのです。それは街づくりを行った責任として、その街の成長も見守っていくということ、言い換えれば売りっぱなしにはしないという供給者の姿勢ともいえます。

街の景観

「グリーンファースト ハイブリッド」街区の様子。建物だけでなく、緑化や道路計画など街の美観の点でも優れている。これらは住宅や街全体の資産価値の維持や、良好なコミュニティを考慮してのものだ(クリックすると拡大します)

積水ハウスに限らず、上質な街づくり案件では、季節ごとのイベントを行うなど供給者が積極的に住民コミュニティに関わるケースがみられますが、「スマートコモンシティ明石台」はその代表的な事例といえます。

スマートタウンというとHEMSやPV、蓄電池などハードに目を奪われがちになってしまいますが、実はこのような良質なコミュニティ形成に関するソフトやノウハウがプラスされることで、より「スマート」(賢い)になるのです。

ところで、「スマートコモンシティ明石台」は東日本大震災以降、宮城県で最大級の街づくりであり、復興の一翼を担っています。街の中には集会所も設けられ、災害時には避難所として機能するよう、「防災コミュニティセンター」も2ヵ所設けられるといいます。

被災地・宮城県に初の本格的スマートタウンが登場するというのは、震災からの復興を象徴する出来事のような気がしました。積水ハウスでは今後、全国各地でスマートタウンの供給を行うということです。

今後、ハウスメーカーを中心にスマートタウン供給が本格化すると思われます。おそらくそれぞれに様々なアイデアや工夫が盛り込まれたものになると思います。スマートハウスをより良く知る理解する上でも重要になりますから、お近くに開発が行われるようであればぜひ見学し、住まいづくりや住宅購入の検討の参考にされてはいかがでしょうか。

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