ランチ専用メニューは月替わりで3種類
店内へと入ると、ほぼ店全体を見回すことができる大きさ。2階には宴会用の個室スペースがありますが、1階にいる限りは“大型”老舗店という感じはしないですね。歴史を知らなければ、街に溶け込んだ普通の中華店のような印象です。左手にはテーブル席、右手奥には中華店独特の円卓があります。1人で訪れた際には、この丸いテーブルへ案内されることが多く、この日もこちらに腰を落ち着けます。
静かに流れる二胡の音楽を聴きながら決めた注文は、「蝦仁炒飯(えびチャーハン)」(1100円)。月替わりの3種類のランチ専用メニューでもよかったのですが、何か予備知識があったわけでもなくフィーリングのみで決めたオーダー……結果は“当たり”でした。プリプリした大きな複数のエビがチャーハンを覆うその“見た目”は、一瞬で唾液を誘います。
エビ以外の具材は、玉子とグリンピースくらいのシンプルな構成。パラパラに仕上げられたご飯との相性もいいですね。スープ、中国茶で口の中をリセットしながら、あっさりと完食しました。チャーハンのメニューは、この“エビ”以外には、“カニ”と“特製”があります。この“エビ”を食べてしまうと、残り2つも気になりますね。
周恩来以外に、孫文、魯迅の名前も
同店のランチ営業は11時から15時まで。ディナータイム直前までランチメニューを提供する店もあるなど、総じて中華料理店のランチタイムは長い傾向があります。4月に訪問した際の3種類の月替わりランチメニューは、「春キャベツとバラ肉のピリ辛炒め」(945円)、「モンゴウイカと小松菜のあっさり炒め」(1050円)、「天然エビとスナップエンドウカキ油炒め」(1155円)。いずれもライスとスープ、お新香付きです。その日は悩んだ末、“春キャベツ”というワードにやられ、ピリ辛炒めをオーダーしました。何度か伺っている同店ですが、何を頼んでも安心というか、安定感があります。
漢陽楼のホームページや、同店を紹介する際に登場する“周恩来ゆかりの店”というフレーズ。店内にも、入口の会計場所近くに周恩来と同店のつながりを伝える書籍など、長い歴史を紹介するコーナーがあります。周恩来以外にも同店に通った著名人としては、孫文や魯迅の名前も……すごいですね。
日清、日露戦争での日本の勝利は、アジアでいち早い近代化成功を証明することとなり、中国などからたくさんの留学生を招くことにつながります。周恩来もその1人ということになるのでしょう。
ちなみに周恩来が好んで食べたものとしてよく紹介されるのは、大きな肉団子のすましスープ蒸しの「獅子頭」(1470円)。次回にでも試してみたいです。
欧米列強との間に関税自主権を回復した年に誕生した中華料理店で、ランチはいかがでしょうか?
■漢陽楼
住所:東京都千代田区神田小川町3-14-2
TEL:03-3291-2911
営業時間:11:00~15:00、17:00~23:00(土曜日は22時まで)
定休日:日・祝
地図:Yahoo! 地図情報