渋谷、吉祥寺の真ん中あたり、
一戸建て、低層集合住宅中心の住宅地
静かな住宅街の中にある永福寺。鎌倉時代の仏像を初め、文化財も多い
永福町(杉並区)は京王井の頭線急行利用で渋谷、吉祥寺それぞれのターミナルから10分弱の場所にある街。地名は駅南側にある、室町時代創建の曹洞宗の寺院、永福寺にちなんだものです。ただし、紛らわしいのは駅名は永福町ですが、住所は永福、お寺は永福寺ということ。間違えないようにしましょう。
駅から神田川方面に向かうと傾斜地に建つ住宅などもあり、かなりの高低差があることが分かる
地形的には武蔵野台地上にあり、永福町駅は北を善福寺川、南と東を神田川に挟まれた場所にあります。そのため、駅から南、北、東に向かうと下り坂になっており、特に神田川沿いは駅からみると、かなり低くなっています。
1階にスーパー、2階以上にカフェや書店などが入った駅ビル
さて、街の様子を見て行きましょう。この街で新しい名物となっているのが2011年(平成23年)に完成した駅ビルそのものです。これまで踏切を渡らないと駅を利用できなかった南側にも新しく出入り口ができ、街の活性化にも貢献するのではと期待されているのです。駅ビル内にはスーパーや食料品店、カフェ、書店にクリニックなどが入っており、スーパーは23時30分までの営業です。
屋上にある庭園ふくにわ。駅の上とは思えないほど静か
駅ビルの屋上には「ふくにわ」と名付けられた空中庭園が作られており、のんびり陽光を浴びながらくつろぐことができます。また、周囲の住宅街を眺めてみると、一戸建てや比較的低層の住宅の多い場所であることも分かります。
駅の南北ともに
商店街活性化の計画が
駅から南に伸びる商店街。生鮮食料品店がないのが集客には弱いところかもしれない
続いて駅の南側をみていきましょう。こちらは駅からまっすぐ伸びる通りに沿って商店街が続きますが、率直なところ、繁華とは縁遠い様子。開店休業状態になっている店舗も多いようでした。その代り、静かなことは間違いなく、商店街から少し入ると一戸建て、ごく小規模のアパートなどが建ち並ぶ住宅街で、日照を遮る建物が少ないためか、日当たりの良さそうな家が多かったのが印象的でした。
線路沿いには新旧各種の飲食店などが並ぶ。この通り沿いでイベントなどが行われている
ただ、南側の商店街では駅ビル完成に伴い、商店街の活性化のため、線路際に花を植える運動やイベントを行うなど、各種取組みを始めていますから、今後の変化に期待したいところです。
井の頭通りを越えた向こうに伸びる商店街。道幅自体はあまり広くはない
さて、永福町でメインとなっている商店街は井の頭線と平行して走る井の頭通りを渡ったとこから北に延びる通りです。ちょうど、角には永福町大勝軒という行列のできるラーメン屋さんがあり、そこから大宮八幡へ向かう方向です。南側に比べると、生鮮食料品店などもあり、いくぶん活気があります。この通りでは今後、無電柱化や道路の舗装工事が行われる予定で、完成すれば歩行者、車の通るべき場所が明確化され、より安全な商店街になるはずです。
井の頭通り沿いにもスーパーや飲食店などが点在。大型店は少ない
井の頭通り沿いにも数は多くはないモノの、店舗、飲食店などが並んでおり、スーパーも。駅からは少し離れますが、有名な天ぷら屋さんなどもあるそうです。
大宮八幡宮の本殿。春の稚児行列から薪能、十五夜の神遊びなどいろいろな祭りが行われている
商店街の中に徐々に住宅が混じるようになり、やがて住宅のほうが多くなってきた辺りでぶつかるのが方南通り。この通りを渡ってすぐのところにあるのが大宮八幡宮です。都の天然記念物に指定されているほど豊かで濃い緑が溢れる境内は1万5000坪(4万9500平米)と広大で厳粛な雰囲気。東京の中心あたりに位置することから、東京のへそと言われ、子育て厄除け八幡様としても崇敬を集めています。
川沿いに桜が植えられ、時期には花見客でにぎわう善福寺川沿い
境内地には都内初の方形周溝墓が発掘された大宮遺跡があり、この辺りは古くから人が住んできた場所であることが分かります。地形的にみると、大宮八幡宮は善福寺川沿いの高台となっており、生活に便利かつ安全な場所として選ばれてきたのであろうことが分かります。
公園内の茶店はこうした場所には珍しく飲酒もでき、つまみ類もいろいろ置かれている
善福寺川沿いにはもうひとつ、住民の憩いの場があります。それが和田堀公園。善福寺沿いの桜並木でも有名なこの公園にはスポーツ施設や釣堀、茶店などがあり、花見の季節はもちろん、それ以外の時期も楽しい場所。川沿いを走るもよし、犬を連れて散歩するのよし、ベンチで読書という人も見かけました。また、和田堀公園の対岸、大宮八幡宮の並びには高千穂大学があり、応援団の声などが聞こえていました。
続いて、気になる
京王井の頭線永福町駅の住宅事情を見ていきましょう。