いい意味で普通
SUVとしてはあまり高くないフロアと視界は、ジープのエントリーモデルに共通するもの。もちろんセダンよりはアイポイントが高く、短めの全長など、サイズも手頃だから日本の道路事情でも扱いやすい。インパネの雰囲気や助手席に設置されたサイド用カメラなどもパトリオットと同じで、走り味もほとんど変わらない。目隠しされて運転席に座り、走り出したら乗り心地では違いは分からないかもしれない。
とくに低速域では足がばたつき、エンジン音もロードノイズも高めで、高級なスーツを着ているというよりもアメリカのファストファッションをまとっているような空間だが、毎日の足として使うには気軽で飽きが来ないかもしれない。156ps/19.4kg-mのスペックをもつ2.0L直列4気筒エンジンは、4人乗車でも淡々と仕事をして目的地に運ぶ実用タイプでエンターテイメント性には欠けるが、こうしたキャラも毎日の相棒としては帰って気楽でいいと好意的に取ることもできる。
運転しやすいのが美点
シティユースを想定したコンパスだが、高速道路やワインディングでも運転しやすいのは美点だ。車両感覚がつかみやすい上に、ステアリングを切れば素直に曲がってくれるライントレース性の高さにも感心させられた。ワイドな全幅をのぞけば、下駄代わりに使えるジープといえるだろう。
若いファミリーにオススメ
室内はまさに4人家族にピッタリというサイズ感で、もちろん大人4人でも不足はないし、後席にチャイルドシートをふたつ装着しても狭くない。実用上やや不足を感じるのは、後ドアの開口部が小さいことくらいだが、大人の乗降でも窮屈というほどではない。後席だけでなく、助手席の背もたれも倒せるなど積載性の高さはセダンなどでは享受できないものだ。価格は298万円~と輸入車としては競争力のある設定で、同クラスの日本車のSUVやミニバンと比べてしまうともちろん厳しいが、ESPやサイドカーテンエアバッグなどの安全装備は充実しているし、ジープという個性やブランドに惹かれるなら毎日気軽に乗れる相棒の選択肢として考えてもいいかもしれない。