ユヌクレ=幸福の扉を開くための「鍵」
「パンとは特別なものではなく、日常的なもの。起きるのがつらい朝も、『そういえば、きのう買ったおいしいパンがあったな』と思い出せば気持ちよく起きられる……店名は、そんな小さな幸せのきっかけになる『鍵』を意味するフランス語です」ユヌクレのパン職人、伊藤公二さんのそんな言葉に心から共感しました。子ども時代には決してパン好きではなかったのに、大人になってから食べたパンのおいしさに感動し、地元の名古屋だけでなく休日には東京でもパンを食べ歩くようになったといいます。
「ただ、おいしいパンを作りたいだけ」と伊藤さん。
彼の焼きあげるパンは、お総菜パンからヴィエノワズリ、想いをこめた食パン「ユヌカレ」、そして天然酵母のカンパーニュまで、決して気難しい顔をしていません。ひと工夫を加えつつも、老若男女に喜ばれる素直で飽きないおいしさです。
人気のトロペジェンヌ(240円)、ししとうとベーコンエピ(230円)、カフェラテ(400円)
ユヌクレならではの個性が楽しいパンは、ししとうの緑が目も喜ばせる「ししとうとベーコンエピ」、「九条ねぎとベシャメルソースのブリオッシュ」など。また「金柑とクリームチーズのデニッシュ」「いちごと練乳あんのデニッシュ」など、季節ごとの彩りをちりばめたパンも並びます。
試行錯誤を重ねた食パン「ユヌカレ」は、棚に並んだ姿も魅力的。
お店の印象を決定づける青い壁を提案したのは伊藤さんでした。印刷会社で色彩と向きあっていた経験とセンスを活かし、壁にディスプレイするカンパーニュが映える色を選択。
「店名が少し記憶しにくいので、『青い店』と覚えていただければいいかなとも考えました」
個人的に「ユヌクレブルー」と命名したい、印象深いブルーです。
次ページで焼き菓子担当の佐藤さんのインタビューをお届けしましょう。