ホームシアターが日本でなかなか広がらない理由

突然ですが、世界で一番映画館に行く国民はどこか知っていますか?

「そりゃあ、ハリウッドのあるアメリカに決まっているさ」
「いや、人口が多くて(映画が)娯楽の代表であるインドに違いない」

正解は、国民年平均約9回のアイスランド。理由は、政府が映画興業を支援していて入場料が安く、新作が公開されるタイミングもアメリカとほとんど一緒なのだそうです。次ぐ第2位がアメリカの約5回、ちなみに日本は約1回で世界中で9番目です。

でも、映画館にあまり行かない割に、日本人は映画に詳しいですよね。それは、レンタルで見るホームシネマが盛んだから。

薄型テレビが普及し、ホームシアターの楽しみも増えた

薄型テレビが普及し、ホームシネマの楽しみ方も増えた

ビデオの時代からDVDを経て今はBDに代わりましたが、再生する機器は日本で開発されたものばかりですし、それを映して見る薄型テレビも日本が先導してきました。通勤通学の途中に必ず品揃えの多いレンタル店があったりするのも映画を借りて見るのに便利です。でも、「ホームシネマ大国」なのに決して「ホームシアター大国」にはならないのです。

 
私はホームシアター専門誌を創刊し、長きに渡ってホームシアター普及に腐心しましたが、日本でホームシアターがまだまだニッチな粋に止まっているのは、住宅環境とかシステム操作の難しさとかの目に見える物的な要因より、日本人の特性とメンタリティによる部分が大きいと今では考えています。

日本人は冷静でバランス感覚が非常に高く、ほどほどのスケールで満足を見出します。アメリカ人のように家庭で劇場的な大画面やサラウンドに熱くならず、映画を見るのに大げさな装置を求めません。日常サイズのテレビの器の中でストーリーがちゃんと分かって俳優がきれいに見えればそれで満足なのです。

私たちが、コンテンツが同じならコンパクトで凝縮されたパッケージを選ぶ「文庫本文化の国民」であることも忘れてはいけません。

でも、映画は、テレビの映像と音で表現しきれないくらい密度が高く作られています。特に音。聴覚は人間の五感の中でもっとも鋭敏で、危険予知の能力に結びついているため、映画は音を使って映像より一歩先の出来事を報せます。オフシ-ン(映像に映っていない出来事)を音が描いて状況全体を教えたりもします。


「ホームシネマ」を「ホームシアター」に変える製品が登場

それに役立っているのが劇場のサラウンドです。5.1や7.1と聞くと最近の発明のように聞こえますが、サラウンドはディズニーの『ファンタジア』(1941)から始まりました。つまり、映画の長い歴史と共にあったのです。サラウンドで聴いてこそ、映画に浸ることができるといってもいいでしょう。

しかし、家庭にサラウンドが受け入れられたとはいえません。「スピーカーをいくつも置くのは邪魔」「スピーカーの数が増えれば音量も大きくなって家族や隣家から苦情がきそう」など、躊躇するのももっともな話です。しかし、そうした心配なしに映画を映画らしく楽しむ恰好の製品が登場しました。

それがパナソニックの7.1chワイヤレスヘッドホンシステム「RP-WF7」です。