3つのスタイルで、4つの個性を提案
スタイリングも、顔つきを除けば、BMWサルーンの作法に則った、コンサバ路線である。特に、横や後からみたフォルムや骨格デザインは、どこからどうみても3シリーズにしかみえないもの。なるほど新型デリバリー前に都内をドライブしていても、それほど目立たなかったのも、うなずける。もっとも、BMWをよく知る人や3シリーズの現オーナーならば、はっきりと世代交代をしたフェイスデザインに注目したことだろう。新ブランドのiにも通じる、ヘッドライトとグリルをメッキパネルで融合した、新しい顔立ちとなった。しかもこの新顔では、ノーズを低くワイドにみせる演出が効いており、そのぶん、セダンでも後輪駆動らしい、ロングノーズスタイルが強調されている。
サイズ面では、ホイールベースを延ばして後席スペースを稼いだぶん、全長もわずかに延びた。幅こそ抑えられたものの全高が下がったため、新しい顔つきとあいまって、よりいっそうワイドにみえるという寸法だ。またまたドアハンドルを削ってまで幅を抑えてくれたのは、日本のユーザーにとっては嬉しいところ。実質的には変わらないのだが。
スポーツラインは黒を基調に赤いアクセントでスポーティさを、ラグジュアリィラインはクロームパーツで高級感を、モダンラインは三次元の表面構造をもつウッドやパールクロームでモダンな美しさを表現する。車体の拡張により後席の足下空間が15mm広くなった。ラゲッジ容量は旧型より20リッター広い480リッターに拡大
内外装の見せ方で、BMWにとっての新しい試みとしては、1シリーズで試みた手法を3シリーズでも拡大採用したことだ。すなわち、ベースモデルに、スポーツ、モダン、ラグジュアリィという3つのスタイルを提案。それぞれに専用デザインのキドニーグリルやバンパー、ホイール、インテリアトリムを組み合わせることで、1+3つの個性を演出した。
3つのスタイルはいずれも同価格であり、ベースモデルとの差は、加飾具合の違いのほか、1インチ大きなアルミホイールを履く程度、と思っていい。そういう意味では、ベースグレードで十分、である。