かつては温泉街、そして桃の産地、
街のところどこに往時の面影も

東京園

綱島街道沿いにある東京園。この裏手を中心にかつての温泉街の遺構が点在する

東急東横線が鶴見川を渡る手前にある街、それが綱島です。ここは1914年(大正3年)に温泉(実際には地下800mから湧出する鉱泉)が出て以来、昭和50年代前半までは綱島温泉と呼ばれ、東京の奥座敷として知られた温泉街でした。その名残が駅の東側、綱島街道沿いにある、綱島温泉東京園。現在は16時以降は銭湯料金で利用可という庶民的な場となっています。周辺には営業は止めてしまったものの、旅館だった建物やその外構なども残っており、街中に風俗店が少なからず存在するのも、その名残りと言われています。

 

桃

現在でも一部の農家は桃復活を目指していると聞いた。また、かつては牧場などもあったそうだ

当時、横浜北部エリアではトップクラスの商業地域だった綱島のもうひとつの名物は桃。今の街の姿からは想像しにくいものがありますが、往時は「西の岡山、東の神奈川」と称された名産地だったそうで、現在は町おこしにその歴史を活用しようと、街角の花壇などに桃のイラストを見ることができます。平成9年からは綱島桃祭りも開催されています。

 

綱島街道

綱島街道から鶴見川方面を見たところ。スーパーや大型店舗、コンビニその他が立地、交通量も多い

他の街とは一味違う歴史を持つ街綱島ですが、早くから商業が発展してきた様子は駅周辺の商店街からも伺えます。東口、西口ともに駅前は狭いものの、人通りは多く、お手頃な価格の飲食店や古い構えを残す商店などが混在、賑やかな雰囲気です。東口側は商店街を抜けるとすぐに綱島街道が走り、街道沿いにはスーパーや大型店が。交通量も少なくありません。

 

中央広場

駅前の細い道を抜けると、ゆったり歩ける整備が完了したエリアに出る。あちこちに置かれた彫刻がかわいい

ただし、綱島街道で分断されているからでしょうか、買い物スポットとして栄えているのは西口側。これは昭和51年以降、街作り協議会などが中心となって歩行者中心の街作りが進められてきた結果でもあります。パデュ中央広場と名付けられた彫刻のある広場周辺にはスーパーやカフェ、各種店舗が集まり、緩やかにカーブする道路沿いには植栽も豊富。散歩しながら買い物ができる雰囲気の空間になっています。

 

鶴見川、早渕川、綱島公園など
緑、水、自然に触れ合う場所も点在

鶴見川

鶴見川沿いの遊歩道。視界を遮るもののない開放感を味わえる

さらに、このエリアを抜けると、そこには鶴見川が流れており、川沿いには遊歩道。一部の場所では川の近くまで下りることができ、訪れた日にも芝生の上でお弁当を広げる親子を見かけました。遮るもののない川べりの開放感は格別で、散歩やランニングにはうってつけ。走っている人たちも気持ち良さそうでした。少し上流には鶴見川に合流する早渕川がありますが、ここも川沿いに道があり、このエリアでは散歩コースには事欠かないようです。

 

綱島公園

急な坂の上にある綱島公園。その一段と小高くなった場所が古墳になっている

もうひとつ、自然に親しむという意味では、駅の北側にある綱島公園、綱島市民の森も外せない場所。綱島公園は駅からは急な坂を上った先にあり、園内には古墳も。高台で古くから人の住んできた土地というわけです。綱島市民の森は住宅地の中にある6haほどの森で、それほど広い場所ではないものの静かで、野鳥の声が大きく聞こえる場所。ここも高台で、展望台からは富士山も望めるそうです。

 
●今回取り上げたのはこのエリア
概念図

今回ご紹介したエリアの概念図。距離、位置関係は正確ではない

次のページでは気になる、綱島駅周辺の住宅事情、新駅計画の動向を見て行きましょう。