給料と年金、同時にもらうと年金が減る!?

一般的な定年年齢である60歳以降でも、元気であれば働き続けたいという方が当たり前になりつつあります。働き続けたいと思う理由として、「生きがい」「やりがい」は当然のこと、年金制度の将来への不安から、60歳以降の収入確保という側面もあると思います。

ただし、働き続けながら年金を受け取る場合には、「在職老齢年金制度」という一定の調整があります。セカンドライフの収入の柱である年金がどういう場合に調整されるのか、正確に把握している方が少ないのが現状のようです。

そこで、今回は「在職老齢年金」の基本的な知識を確認していきたいと思います。

在職老齢年金の対象となるケース・ならないケース

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年金受給を繰下げても、調整は免れない(通常受給したとして調整(支給停止)される部分については繰り下げができない)

さて、在職老齢年金とは「働きながら老齢年金を受け取る際の調整」ということになるのですが、例外なく調整されるわけではありません。調整の対象とならないケースも少なくないのです。

●調整の対象となる年金は限られている
調整の対象となる年金は、「老齢年金」に限られます。したがって、障害年金や遺族年金については調整の対象外です。また、国民年金から支給される「老齢基礎年金」についても調整の対象外となります。つまり、調整される年金は、老齢厚生年金、退職共済年金となります。

●働いていても調整される人、されない人がいる
調整される対象者は、厚生年金、共済年金に加入している(要は被保険者)の方です。逆に働いていたとしても、厚生年金や共済年金に加入(被保険者)していなければ調整はされません。働いていると一言でいっても、自営業の方もいるでしょうし、厚生年金や共済年金に加入しない程度の働き方(アルバイトやパートタイマー)をすることもあるでしょう。そういった働き方をする場合は、調整されません。

●年金と給料収入の合計が一定の基準を超えなければ調整されない
これについては、後ほど詳しく説明をします。

「一定の基準」は65歳までと65歳以降で違う 

在職老齢年金制度では、年齢によって調整方法が異なるのをご存知でしょうか? 先ほど「年金と給料収入の合計が一定の基準を超えなければ調整されない」と説明しました。この「一定の基準」が、「65歳まで」と「65歳以降」で違います。

具体的には、給料(年収の12分の1)と年金月額(年金額の12分の1)の合計が、
・65歳まで 28万円
・65歳以降 47万円
を超えると、年金の全部または一部が調整されることになります

※いずれも平成27年度。なお、この一定の基準については、毎年見直しが行われます。

また、「一定の基準」を超えた際の調整方法についても違いがあります。基本的には、どちらも「超えた額の2分の1が調整(支給停止)」となります。一方、65歳までの場合、「給料が28万円超、年金月額が47万円超」については、違う計算式を使うことになり、ちょっと複雑になります。

在職老齢年金の早見表 

単位「円」。平成27年度分。尚、オレンジ色の部分は、調整されず全額受け取れる。

単位「円」。平成27年度分。なお、オレンジ色の部分は、調整されず全額受け取れる。

●定年直後の給与月額は注意!
給与月額について、先ほどから「年収の12分の1」という表現をしていますが、もう少し詳しく言うと、「その月の給与額(標準報酬月額)+「直近」1年間の賞与総額÷12」で計算されます。

定年直後は、定年直前の賞与額が含まれるため、在職老齢年金を計算する際の「給与月額」が高くなるケースが多くあります。ということは、調整(年金の支給停止)が多くなることになりますね。

65歳までは雇用保険との調整があることも! 

60歳以降急激な給料のダウンに対し、雇用保険から「高年齢雇用継続基本給付」が支給されることがあります。そうすると、「給与」に「年金+雇用保険」という2つの給付が行われることになり、在職老齢年金のさらなる調整(支給停止)がなされるケースもあります。

その他、知っておきたいポイントを整理しておきます。

●厚生年金の加入は70歳までだが、調整は70歳以降も続く
ただし、保険料負担はありません。

●老齢厚生年金に加算される「加給年金」については、調整の対象外
ただし、老齢厚生年金が全額支給停止された場合は、加給年金も停止されます。

●月給に変動があっても、直ぐには調整されない
在職老齢年金における給与月額は、「その月の給料+直近1年間の賞与額」で計算されますが、その月の給料については「標準報酬月額」というもので計算します。この標準報酬月額は毎年4、5、6月の給料の平均で計算されます。

標準報酬月額がいったん決まると、1年間は変更されません。ただし、大幅な変動があった場合には、変動があった4カ月目に標準報酬月額が変更されます。したがって、月給に大幅な変動があっても、調整に影響があるのはその4カ月後からになります(定年退職後、即再雇用されるケースではすぐに変更される場合もあります)。

60歳以降も働き続けることが当たり前になりつつある今、在職老齢年金の知識をしっかり押さえておきたいですね。

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