絵本で大人の想像力を刺激する
「読書は、知的好奇心旺盛な人々の欲求にこたえる総合的なエンターテイメントだ」とガイドは考えます。中でも絵本は、自分の想像力を駆使して楽しむことができる特別な存在ではないでしょうか。大人になって、「少々自分の想像力が錆びついてきたかも……」と感じたら、想像力を刺激する次のような作品を読んでみませんか。まずは、ヒッチコック映画のような身近に潜む恐怖を描いた異色の絵本をどうぞ。絵本は子どものものだからと甘く見てはいけません。本当に怖いですよ。なにしろ作者は、『怪談の怪』発起人の1人・京極夏彦氏なのですから。
■いるの いないの (怪談えほん3)
絵本から怖い話が消えつつある現状を憂い、「子どもたちに、もっと怖いお話を」と企画された「怪談えほん」シリーズの中の1冊です。怖いから何かいると思うのか、それとも何かいると思うから怖いのか……古いおばあさんの家で暮らすことになった少年に、「得体のしれないもの」への恐怖がじわじわと忍び寄ってきます。1度怖いと思ってしまったら、何もかもが恐ろしく感じるのは、人間の想像力のせいでしょうか? 1度でもこの本を読んで、想像力のスイッチがオンになってしまったら、暗闇を凝視できなくなるかもしれません。
【書籍DATA】
京極夏彦:作 町田尚子:絵 東雅夫:編
価格:1575円
出版社:岩崎書店
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かわってご紹介するのは、書道の絵本。文字の美しさを自由に楽しむ作品です。それだけに、読み手の想像力が試されてしまいそうです。
■月人石 こどものとも傑作集
写真と書、そして谷川俊太郎さんの詩が、三位一体となって読者に迫ってくる絵本です。言霊という言葉がありますが、ひょっとすると文字にもまた不思議な力が宿っているのかもしれません。例えばガイドが「馬」という文字から農耕馬の力強さをイメージしたように、読者は、それぞれの書から、漢字の表意文字としての意味以上のものを感じとることができるはずです。絵本では、ヴィジュアルが逆に読者の想像力を限定してしまうケースもありますが、この作品にそのような心配は全くありません。
【書籍DATA】
乾千恵:書 谷川俊太郎:文 川島敏生:写真
価格:840円
出版社:福音館書店
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>> 次は、何か大人の趣味を持ちたいなと思った時に……