世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

ベルサイユ宮殿:フランスが誇る世界で最も華麗な王宮(4ページ目)

太陽王ルイ14世は、水なき土地に水を引き、丘を削って森を刈り、自然を直線で区切って豪壮な宮殿と庭園を築き上げた。そして王や諸侯を招待し、自分が自然をも征服する「王の中の王」であることを見せつけた。今回は、絶対王政の象徴であり、世界でもっとも華麗な宮殿といわれるフランスの世界遺産「ベルサイユの宮殿と庭園」の名所や歴史・観光情報を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

ベルサイユ宮殿に影響を受けた世界遺産

シェーンブルン宮殿のネプチューン噴水とグロリエッテ

シェーンブルン宮殿のネプチューン噴水とグロリエッテ。マリー・アントワネットはこの宮殿で育ち、ルイ16世との結婚を機にベルサイユ宮殿へ移り住んだ

絶対君主や啓蒙専制君主たちが建てた宮殿のうち、世界遺産に登録されているものを列挙してみよう。「■」以下が世界遺産名だ。

■ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群/ドイツ
プロイセン王たちはベルサイユ宮殿をまねて数々の宮殿を築いた。フリードリヒ1世のシャルロッテンブルク宮殿や、フリードリヒ2世によるサンスーシ宮殿がその代表だ。

■ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場/ドイツ
ドイツ・バロック&ロココの旗手バルタザール・ノイマンがベルサイユ宮殿を参考に設計したのがヴュルツブルク司教館やホーフ庭園だ。

■シェーンブルン宮殿と庭園群/オーストリア
フランス・ブルボン家とヨーロッパの覇権を競ったオーストリア・ハプスブルク家も、宮殿においてはベルサイユの影響を受けた。一例が「オーストリアのベルサイユ」といわれるシェーンブルン宮殿だ。

■ドロットニングホルムの王領地/スウェーデン
プファルツ朝の王たちに愛されたバロック様式の宮殿ドロットニングホルムは、特に庭園がベルサイユ宮殿の影響を受けており、「北欧のベルサイユ」の異名を持つ。

■サンクトペテルブルグ歴史地区と関連建造物群/ロシア
ピョートル1世はベルサイユ宮殿に感銘を受け、「ロシアのベルサイユ」ペテルゴフ宮殿を建て、世界随一の噴水庭園を築いた。エルミタージュ美術館も内装面で多大な影響を受けている。

■アランフェスの文化的景観/スペイン

アランフェスにはルイ14世らのフランス・ブルボン家の血を引くスペイン・ブルボン家がベルサイユ宮殿の影響を受けて築いた宮殿群が立ち並んでいる。

■カゼルタの18世紀の王宮と公園、ヴァンヴィテッリの水道橋とサン・レウチョ邸宅群/イタリア
カゼルタ宮殿は一時イタリア南部を支配したスペイン・ブルボン家が築いた宮殿で、やはりベルサイユ宮殿の影響を大きく受けている。

ちなみに世界遺産に登録されていない宮殿では、ドイツのヘレンキームゼー城や中国の円明園などが挙げられる。
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