道の途上にあるコーヒーピープルたち
この10年ほどのあいだにカフェで提供されるコーヒーの質は大きく向上しました。その推進力のひとつとなっているのが、熱意ある若手のコーヒーピープルたち。カフェ店主、焙煎人、バリスタなど、肩書きや経歴や理念はさまざまですが、自らより良いコーヒーを求めるとともに、お客さまにおいしい一杯を提供したいと願う人々です。スペシャルティコーヒーのトラック販売からスタートした2人のREC COFFEE(福岡)
コーヒーの奥深い世界に踏みだして自分なりの方法で懸命に模索を続けてきたものの、理想と現実のあいだには開きがあり、時として苦しまざるをえない。
どうしたらもっと技術が向上するのか? 自分が良いと信じるものは、人々には受け入れられないのだろうか? なぜあの人は成功して、私は成功しないのか?(それはコーヒーの世界に限らず、ものを作って他人にさしだす仕事をしている人々の多くが抱く怖れでしょう)。そもそも、成功とはいったい何なのか?
怖れや嫉妬を、仕事を磨くエネルギーに変換する
京都のエレファントファクトリーコーヒーに珈琲豆を提供している北海道・美瑛の喫茶室豆灯
いわば、ルサンチマン。でもそんなとき、他者の仕事をくさして鬱憤を晴らすことはしない。闘うべき相手は自分。悔しさがこみあげてきたときは、それを仕事を磨くエネルギーに変換する。
そんな心意気が、道の途上にあるコーヒーピープルたちが私の心をとらえる一因でもあります。そして彼らの姿と、それぞれが試行錯誤してきた道のりが、「コーヒーの仕事に関わりながら生きることは可能なのだろうか」と考えあぐねている人々のヒントになれば、と思うのです。
代官山のMOCHA COFFEEは、イエメン出身のオーナーが故郷で直接買いつけてくるシングルオリジンコーヒーが楽しめる貴重な場所