カフェ/カフェの特集記事

エスプレッソ焙煎・ノリヨシミローステリア

下北沢のBEAE POND espressoのコーヒー豆は、気鋭の焙煎士・吉見紀昭さんが手がけています。哲学もファッションも、今までに出会った焙煎士とは異なる個性的な彼に、真剣で熱のこもったお話をうかがいました。

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

「エスプレッソ専門ロースター」という特異性

私が出会ったなかで最も個性的なスタイルを持ち、およそ焙煎士らしく見えない焙煎士をご紹介しましょう。その風貌は、研究者あるいは商人タイプの多い焙煎士の人々とはおよそほど遠く。

初めてその人にお目にかかったのは下北沢のカフェ、BEAR POND espresso。オーナーの田中さんが「うちで使う豆は彼が焙煎しているんですよ」と窓の外の人影を示しました。それが吉見紀昭(よしみのりあき)さんでした。そのときの驚きときたら! どう見ても“下北沢に古着を探しに来たおしゃれさん”だったのです。

吉見さんはバリスタ世界チャンピオンのポール・バセット氏がプロデュースするエスプレッソカフェ、ポール・バセット・ジャパンに2005年12月に入社し、2年間チーフバリスタとして活躍。その後独立して、2008年にスペシャルティコーヒー豆をエスプレッソ用に焙煎する「Nori Yoshimi Roasteria(ノリヨシミローステリア)」を開業しました。

ノリヨシミ・ローステリアの写真

6月の午後、吉見さんのお話をうかがうために訪れたノリヨシミローステリア。それは下町の路地の一角では少しばかり異彩を放つ存在でした。お店の看板はなく、大きな扉には金色の獅子のドアノッカーだけ。
内部に足を踏み入れると、金色に塗装された美しいドイツ製の焙煎機プロバットと、ロースター犬(?)の豆太郎が迎えてくれました。この犬はエスプレッソ豆を食べるのです!

ノリヨシミローステリアのスタイルはユニークで、芯の通った哲学に基づくもの。

○スペシャリティコーヒー豆を用い、エスプレッソ用に焙煎する。
○豆を使うバリスタと密接なコミュニケーションをおこなう。
○個人のお客さまへの小売りはしない。

ひとつひとつ理由を尋ねていくと、コーヒーを一生の仕事に選んだ吉見さんの真摯さが伝わる、熱意のこもったシャープな回答が返ってきました。コーヒー焙煎の仕事を考えている人にとっても、私のようにただエスプレッソを飲むのが好きという人にとっても興味深いその言葉の数々を、次のページでお伝えしますね。

▼わずか30秒に賭けるエスプレッソの面白さ

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