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絶好調の3DSが販売不振で任天堂赤字の謎(3ページ目)

2012年1月27日、任天堂の第3四半期決算が発表されました。そこでの発表を受けて、任天堂赤字の文字が各ニュースで話題となりました。しかもその原因は、3DSの販売不振によるものだといいます。しかし、年末商戦であれだけ売れた3DS、それでも販売不振なのでしょうか?

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

キラータイトル以外が大事

3DSと様々なタイトルの図

年末商戦だけでなく、春、夏、秋と、穴をあけずに、ユーザーの注目を切らさず、丁寧にタイトルを訴求していく必要があります。(イラスト 橋本モチチ)

2012年の3DS、ひいては任天堂に最も重要なことは、キラータイトル以外のソフトが堅実に売れていくことです。特に任天堂以外のメーカーが出す中堅タイトルです。現状は、任天堂のキラータイトルのパワーで一気に普及台数を稼いだという状況ですが、ここから安定的にソフトを供給して、より広い層に売っていく為にはサードパーティーの力が欠かせません。

任天堂だけでなくサードパーティーの出すタイトルもその規模感に見合った数字で着実に伸ばしていければ、商売になると感じてさらに多くのタイトルが集まり、多様なソフトでもって年間のタイトル数を膨らまして賑やかになっていく、そういう循環に入っていきます。これができないとどういうことになるのか、日本市場におけるWiiのような、任天堂の強力なタイトルが出たときには市場がわっと盛り上がるんですが、それらが点として存在して一向に線にならない、そういう環境を引き起こします。

2011年の年末、任天堂は3DSの拡販に全力を注いだと言っていいでしょう。2012年はそうはいきません。年末に向けて3DSに有力タイトルを用意していないとは言いませんが、多くのリソースを新ハードのWiiUに傾けなくてはいけないことが想定されます。さらに先の話をするなら2013年はWiiUと3DSを並行して伸ばしていく必要に迫られるはずです。その時、任天堂がいかに強力なコンテンツを自社で持っているとしても、単独ではどちらかに必ず穴があきます。ですから、3DSにおけるサードパーティーの市場構築は2012年の最重要課題なのです。

決算の発表に伴って、有料追加コンテンツのオンライン配信といった任天堂が今まで行なってこなかったビジネスモデルについての言及もありました。しかしそういった新しい試みも、3DSというプラットフォームが成長していくという前提があってのことです。

血を流しながらも足元を固めた2011年、この固めた足場を使って大きく跳ねることができるかは、大きな花火よりも、地道な展開にかかっていそうです。

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【関連サイト】
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