津波避難ビルとは
「津波避難ビル」とは全国各地の沿岸部において、津波が発生した時に住民が緊急に逃げ込むために指定されたビル、マンション、ホテル等の建物を指します。東日本大震災ではこの津波避難ビルに命を助けられた人もおり、一定以上の効果があったと言われ、国としては指定基準を見直しこの津波避難ビルを全国的に普及させる方針を取っています。津波に関する記号を覚えておこう。津波避難ビル等にかかるガイドライン(平成17年6月 内閣府)より
分譲前の新築マンションも津波避難ビルに
津波避難ビルに指定される建物は、地震や津波に耐え堅牢でかつ避難時にオートロックなどを解除し不特定多数の避難者を受け入れなければなりません。従って民間分譲マンションでは津波避難ビルに指定されることが難しいとされてきましたが、2011年10月、大阪市の新築マンションが分譲前に指定を受け、全国初の試みとして話題となりました。津波避難ビルはなぜ必要か
津波避難ビルに関する初のガイドラインは平成17年6月にできました。それによると、地震の多い日本では過去に多くの津波被害を受けてきたことや今後も大規模な地震発生が予測され甚大な津波被害が発生する危険性があること、そして津波から身を守るためには短時間で高台に避難を済ませることが大原則であるものの、高台がそばにない平野部や、避難しにくい急な地形が迫る海岸集落などでは避難が容易ではなく、避難地の整備が必要である、としています。その課題の解決のために、堅牢な中・高層建物を一時的な避難のための施設(=津波避難ビル)として指定する、としています。普及が急務である津波避難ビル
津波避難ビルはあくまで緊急的・一時的な避難所であり、むやみに多くの機能を求めるというよりも、どちらかというとなるべく多くの建物が指定されることが望ましいと考えられています。既存建物を指定する場合には、もともとは避難施設として想定されていない施設を活用することから、利用・運営体制をあらかじめ充分に強化しておかなければ津波避難ビルとして機能しない可能性があるとし、ガイドラインにもそれら利用・運営手法等について定めています。