110番通報

110番通報してパトカーが…

110番通報してパトカーが…

マンションの通路に出ると、弱い明かりの元で携帯電話を取り出して「110」をダイヤルした。耳に携帯を当てるとなぜかもう一方の手で口をふさぐようにした。大きな声で話せないと思った。相手はすぐに応答した。

「こちら110番です。事件ですか、事故ですか?」
「あのー、家が、泥棒に入られたみたいなんですが」
「住所はどちらですか?」
「〇〇区△△町……」

少しやりとりをしてから、警察官がすぐに来ると言われた。マンションの入り口に戻って通りを見ているとサイレンを鳴らしてパトカーがやってくるのが見えた。若い警察官が有紀のところにやってきた。

「通報してきた人ですか? 西田さん?」
「はい。そうです」
「2階?」
「はい」

数人の警察官と連れ立って2階の自室に戻った。

「何が盗まれたか分かりますか?」
「え? えーと、パソコンと引き出しに入れていた現金の入った封筒と、指輪とかアクセサリーと腕時計と…」
「通帳と印鑑は?」
「あ、まだ見ていません」

確かめたところ、通帳と印鑑類は無事だった。今どきは防犯カメラがどこの金融機関でもついているので窓口での払い戻しは考えなかったのだろう。キャッシュカードは財布に入れて持ち歩いていたのだ。指紋をチェックされたが、侵入者は軍手か手袋をしていたと思われると言われた。スニーカーのような靴跡が多数見つかった。そして、肝心なところだが、侵入口は玄関ドアと断定された。ドアを調べていた捜査官が言った。